第12章
脱毛
原典: Hair Loss
URL: http://www.collmed.psu.edu/pedsonco/Chapter12.OL.html
[この家庭でのケアに関する情報はほとんどの状況に当てはまると思われますが、そうではない場合もあります。医師や看護婦がここに書かれていないことを勧めるときは、その指示に従って下さい。
問題を理解する
ガンのような病気であっても、外見を良く保つことは特に若い人たちに大切なことです。ある種の治療で、その治療の開始より1週間から2週間ころに治療が原因で頭髪が抜け始めることがあります。化学療法の場合には半年から1年を経過しないと発毛が起こらず、頭部への放射線治療を受けた場合は永久に発毛は起こらず脱毛状態となります。また、発毛があっても以前とは異なる色であったり、あるいは異なる髪質になることもあります。あなたの力で、毛髪の損失を防ぎ、毛髪に問題がある期間中でもお子さんが通常の生活ができるよう、助けることもできます。
あなたにできることは何か
⇒かゆさと乾燥を少なくするために頭皮の手入れが大変重要です
- 抜けてゆく毛をブラシと洗浄できれいに
- 頭髪と頭皮を中性蛋白系石鹸で週に2回優しく洗い、頭皮のマッサージを行なう
- 蛋白系のコンディショナーを使うことで細くて腰のない毛髪に強さを与える
- 脱色剤、過酸化水素、アンモニア、アルコ―ルあるいはラッカーを含む、刺激性で髪がいたむものは使用しない
- 熱、カール用コテ、ホットローラーなどは避ける。ドライヤーの使用には最冷状態で
- 頭髪は短く、容易にセットできるように
- 頭髪の編み込みやポニーテールは避け、広い幅の櫛を使う
- 頭髪を多く見せるように、化学治療中に少ない頭髪にパーマネントを掛けることを美容師に相談してみる(但し、家庭用のパーマネントセットは避ける)
- 新しく生えてきた頭髪には3回ほどのカットやトリムが済むまではパーマネントを掛けない
- 頭部を日光から守るために帽子を着用し、日焼け止めは最低限度SPF#15を使用
- サテンを使った枕を使ったりネットをかむって寝るようにする
- 寒いときには帽子を着用するか頭部保護用のスカーフを使って頭の冷え(や、頭皮の乾燥)を防ぐ
- まつ毛を保護するためにサングラスを着用
- 抜けた毛を優しく腕、腋、陰部から洗い流し、男子の場合は胸や顔からも洗い流す
⇒かつらあるいはヘッドカバーを使用することで自尊心を守ることにもなります
- 美容師やヘヤスタイリストと相談してかつらを購入することもできます。自宅や病院まで訪問するサービスもあります
- 電話帳にかつら専門店の案内もありますので、専門家と話しをしてみるのも一策です
- 化学療法を始める前に小型のロックタイプを使用して頭髪の色合わせすることもできるでしょう
- もし、かつらを買うことができないのであれば、アメリカガン協会から借用する相談もできます(日本では夏目雅子ひまわり基金)
- 頭髪が無くなる前に、かつらをスタイリストの処に持参して以前と同じ様にセットしてもらうのも方法です
- 自宅でかつらの脱着の練習をしてみる
- かつらは(毛が抜けたりするので)修理やスタイルの調製のためにスタイリストに再度持ち込む
- ターバン、スカーフあるいは帽子を使う
電子化担当者注 −特にお勧めするわけではありませんが、アートネイチャーでは15歳以下の子どもに無料でかつら製品を提供する「リトルウィング・ワークス」を通年実施しています。円形脱毛症やケガ、火傷、病気の後遺症、全頭脱毛症などのお子さんのいるご家庭ではこういうものも利用できるということだけお知らせします。対象年齢は4歳〜15歳までの子ども。お問い合わせは03−3379−8181
「リトルウィング・ワークス」係
ちなみに私の子どものときには、当時の制度で抽選に外れ、結局25万円ほどするものを購入してしまいました。夏目雅子ひまわり基金もとてもいいと思います。
又、最近、人工毛髪がすそにアレンジされたかわいい帽子を6.000〜10.000円で制作するところがあります。9歳くらい以上のお子さんには使用可とのことです。
考えられる問題点
- "かつらを買うことができない"
- アドバイス:ある保険ではかつらを購入する一部あるいは全額を医療処理後に必要と認めて補償するものがあります。医師からの必要理由の処方箋が必要になるでしょう。"脱毛"あるいは"全頭部の補てつ"と書いた内容のものです。あるいはアメリカガン協会からかつら購入の援助を受けることもできます。また、地方のヘアスタイリストが無料のかつらを提供することもあります。(日本では医療スタッフからお勧めされるかつらやさんもありますし、かつらについては↑前述の通りです)
- "人々があいつはこれから禿げ頭やまだら頭で生きていくのだなどと言う"
- アドバイス:若い人たちには外見は大変に重要なことです。あの子が頭髪を失うことを家族や友達はどう思うだろうなどと副次的なことを勘ぐるのはやめ、お子さんがこの難しい期間にいかに自信を持って過ごせるかを考えることです。
計画の実行と調整
もし可能ならば、お子さんにかつらが必要かどうかを最初に決め、種類などを考えて早い時期に注文をすることです。また、帽子、スカーフあるいは野球帽にするような方法もあります。(メンバー注―以前は帽子をかぶると目立ちましたが、最近のファッションでは、何気なく帽子をかぶったり、巻いたりする方がとても多いですね。この方法をお勧めします)何れにしても、本書で述べた頭髪の消失を最小限度に留めることが必要です。もし、あなたの計画が予定通りに進まず脱毛状態が悪化すると親子とも嫌な感情になることでしょう。手助けを受けるためにソーシャル・ワーカー、看護婦あるいはスタイリストに相談するとよいでしょう。
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