第7章 便秘


原典: Constipation
URL: http://www.collmed.psu.edu/pedsonco/Chapter07.OL.html
訳者: Grandpa Tony@Dinosaur
Eメール:[email protected]

[この家庭でのケアに関する情報はほとんどの状況に当てはまると思われますが、そうではない場合もあります。医師や看護婦がここに書かれていないことを勧めるときは、その指示に従って下さい。緊急事態だと思われる場合は、「専門家の助力を求めるのはいつか」の項に直接進んでください]


問題を理解する


便秘は腸の蠕動(ぜんどう)運動が通常より鈍くなり、便が固くて下方(結腸のほう)への移動が困難な状態を言います。抗ガン剤、麻薬、精神的なストレス、食事の変化、あるいは活動の低下などが起因して起こります。いくらガン患者は食べ物の摂取量が少ないとは言え、体内では廃棄物を作りつづけるので、規則正しいな排便は変わらず必要です。

ガンを患っている人が便秘をすると、食欲が減少し、腹部の膨満を感ずることがよくあります。その結果、不快感は一層強まります。

あなたの目標は

専門家の助力を求めるのはいつか


まず、便秘状態にある人が医療専門家の力を必要としているかどうかを自問します。
次に述べるようなことがあてはまるならば、普通の診察時間内に医師あるいは看護婦に連絡をとりましょう。

お子さんが3〜4日間排便がない。
便秘が続くほど不快感が増しているでしょう。もし2〜3日程度以上そのままにしておくと、それだけ解消も困難になります。いつものお通じの状況、前回排便があった日付と便の状態を医師あるいは看護婦に報告すれば、便秘解消のための薬品の使用やその他の方法が提言しやすくなります。

トイレや簡易便座で息み(りきみ)、無理に出そうとする

断続的な腹部の痛み。
その他の症状や程度を報告すれば、医療の専門家が単なる便秘だけでなく重大な問題がおきていないかどうか評価する警鐘となります。このような状況では、便秘は重大な問題の徴候または副作用ということになります。腹痛や嘔吐は腹部に問題があることを示すもので、一時的な大腸部分での閉塞、あるいは感染などもあるでしょう。


次に述べるようなことが当てはまるならば、緊急で医師か看護婦に連絡を行なうことです。

腹部の激痛があったり、腹部を触ると通常よりも硬く感じられ、大変に詰まった状態である

排便された便の外側に鮮血が附着している。
このような症状は直腸付近の組識に切れが発生したことを示しており、その傷ぐちから重い感染を起こすようになります。


連絡を行なう前に、医師や看護婦にきかれても困らないよう、次の問いに答えを用意しましょう

  1. 通常一日排便は何回か? このことは便秘の程度を知るためのものです
  2. 前回の排便はいつか?状態はどうであったか?前回の排便状態がやわらかいものであったかあるいは水分が少なく硬い状態であったかを聞くと、専門家は食物が適切に消化されているか、便が長い消化管を通って流動するために十分な水分を含んでいたかどうかを知ることができます。加えて便の色も重要です。大変に黒ずんでいる便は便に血が混ざっていることを示していることもあります。
  3. お子さんは通常排便をよくするために便を柔らかくするような薬品、コレースやセネコットを服用しているか?このことも大切なことで、医師や看護婦はどの薬品が有効で、どれがきかないかを知り、新たな薬品を提言するために必要となります。
  4. 便秘しているという感覚が、日々の歩くとか食事を摂るというような行動を阻害しているか?便秘がお子さんの快適さや行動にどの程度影響を及ぼしているかを報告するのはとても大事です。そうすれば、便秘の状態を緩和するためにさらに強い薬を出すべきか、あるいはもっとマイルドな薬を出すべきか、どんなことをするように勧めるべきかを医師が判断できるからです。
  5. 何か他の徴候はあるか? その他の症状への質問に答えることで便秘の程度がうまく表現できます。もし排便は数日無いが、わずかな量の下痢があるならば、医療の専門家にそのことを知らせれば、便の詰まりの可能性を気づかせます。
  6. おこさんはどのような薬剤を過去2日か3日で服用したのか? 薬剤によっては正常な排便を阻害するものもあるので、医師や看護婦は何かの薬剤が便秘に関係しているかどうかが分かります。そのためにも、その週から服用し始めた薬品について話すことを忘れないないようにすることです。
  7. また、この24時間に何をどのくらい食べたりあるいは飲んだりしたのか?
最後に、医療の専門家たちは食物や飲み物の摂取状況を知ることで、今回の便秘が緊急を要し診療所を尋ねることが必要であるかどうかを判断することができます。便秘解消が緊急処置を必要とするものではないとの判断ができれば、多くの水分を摂取し、同時に以下のような行動を色々と試みるように勧めるでしょう。

さて、電話をかけるときには以下のように言うといいでしょう。

"私はアーロン ラミレツで、ティファニー ラミレツの父親です。娘はルーケンバーグ先生の患者でして、ウイルムス腫 (悪性腎腫瘍) と診断されました。自宅介護計画で4日間便通が無ければ連絡をするようにと説明しておりますので。もようしてはいるのですが、出ないのです"

あなたにできることは何か


便秘の問題を解決するには二つのことがあります。

・便秘を和らげる
今起こっている便秘が急を要するものではなく医師や看護婦に電話をする必要がなければ、便秘や不快感を和らげるために次のようなことを試してください。

便軟化剤の飲み薬を与え、毎日服用する
朝一回分で始め、夜に次の一回分とします。もしこれで便秘が改善されないようであれば、日々の服用に三回目を加えるようにします。効果が出るまでこの養生法を続けてください。
便軟化剤は水分を引き入れ、便が乾くことを少なくして腸のなかで下の方へ動き易くします。お子さんが「直ちに医師の診断がいるような状態」に当てはまらないときは試してみるとよいでしょう。薬剤は錠剤、シロップ状や顆粒状などで、どこの薬局でも買うことができ、種類も色々とあります。コレースやセネコットの錠剤が子ども用として薦められています。もし、財政的な問題があれば幾らか安価なものを薬剤師に尋ねてみることもできますし、診療所のスタッフにサンプルがないか聞いてみることです。
ガン専門医師あるいは看護婦の指示のもとに、無機質の浣腸、高速浣腸、石鹸浣腸か座薬で即効性を得ることもある
ガン専門医師あるいは看護婦の指示があればですが、無機質の浣腸、高速浣腸、石鹸浣腸か座薬で即効性を得ることもあります。浣腸は便秘を和らげるための最後の手段です。浣腸では直腸部分で働き、上部の腸の動きをも促す効果があります。もし、浣腸を使用することを薦められたときには、克明な指示を聞くことが大切です。血球算定値が低い時や、腸壁粘膜が既に傷んでいる場合には、浣腸や座薬を使うことは感染の危険性が増えることになります。そのため、このような方法を取る場合にはガン専門医あるいは看護婦の具体的な指示がある場合に限ります。


・便秘を予防する
便秘を防ぐためにできることは沢山あります。もし、お子さんが最近便秘しているようであれば、次のことを防止のヒントとして利用してください。

徐々に食物繊維の多く含まれた食物を食事に加える。例えば:

繊維質の多い食物は便に水分を引き込みます。これらの繊維質はかさばるもので、小腸を通過する際にも壊れないような組織からなっているのです。例えば、ナッツ、まめ、穀物、果物や野菜の皮などは簡単には壊れないもので、便が身体の外に容易に出るような形を保つ助けになります。もし、生の果物や野菜を噛むことができないのであればすりおろすか、調理してください。

未加工のふすまを食事に加える。
ふすまは排便作用を促進します。 シリアルなどに振り掛けます。最初はティースプーンで一日2杯で、徐々に増やしてテーブルスプーンに2杯までにします。一度に多くのふすまを食事に入れると下痢や不快感を起こす原因となるので注意してください。また、次の項を読むことも忘れずに。
お子さんに毎日多くの水分を飲むようにすすめる。(医師や看護婦と相談をし、液体摂取の表に示す正しい量とする)
液体は便に水分を加え、乾いて硬い便になることを防ぎます。上で述べた方法を取るときはこれを一緒に行うことが大切です。水分の摂取量を増やすことのみを促すのもよいですが、お子さんがふすまを食べるのなら、さらに多くの液体と一緒にとることが必要です。
暖かい紅茶やホットレモネードを与える。
熱いものや暖かい飲み物は排便を刺激するものです。よくコヒーを飲むとトイレに行きたくなるという人がおります。それはカフェインと熱い飲み物が起こしているのです。熱い紅茶や熱いレモン水もコーヒー同様に効果があります。
プルーンジュース、フルーツジュースやネクターも良い。
プルーンジュースは暖かくとも冷たくとも排便に効果があります。
たとえば毎日歩くなど運動をする。
たとえば室内で歩くような少ない量の歩行でも下腹部の筋肉を刺激するものです。医師と適切な運動の量や種類について話してみることです。
下剤や浣腸を連用することは避ける。
下剤で、排便促進や刺激効果のあるものは腹痛を起こし、自然な腸の運動を阻害することもあります。これらは便を軟化させる薬剤とは違うものです。
毎日1〜2つぶ、便を軟化させる薬剤を与える。
軟化剤を毎日1〜2つぶ服用することは便秘を防ぐ効果があります。食事や飲み物の量が少なく、運動するほど体調の良くない人には便軟化剤を試すべきです。
最初に食事と運動で、その後の方法として薬剤を使い、薬は他の薬と同じ様にきちんとスケジュールに合わせて服用すること。
食事、運動と薬剤使用のスケージュールは便秘を防ぐためであり、他の薬を服用するのと同じ様に大切なことなのです。便秘解消に効果のある食事、飲み物と予防策として服用する薬に日々注意することで、うまく予防ができるでしょう。


考えられる問題点


お子さんの便秘問題を解決する計画を実行する上で何が阻害の要因になるのか考えてみてくだい。

"水のような便がでたのに、どうして家の子が便秘なの?"
アドバイス:時にはお子さんは便秘であっても、少ない液状の排便が直腸の下で硬くなった便の周囲から漏れて起こるものです。通常の排便が無いことを報告し、同時に少しの下痢があったことも話すことです。処置をしないと、便秘の状態が進み大変に不快な状態になります。


あなたの計画を実行し調整する


計画の実行
特に抗がん剤ビンクリスチンや麻薬が処方されているときや、運動をしないお子さんの場合には、便秘対策を事前に準備することです。この在宅介護計画を参考として食事の習慣を変えることをはじめ便秘の予防を行なうことです。

結果の点検
新しい薬剤処方の後で、お子さんの排便の習慣に変化があるのかを見極めることです。便秘の頻度は減ってきていますか?便秘になったときは、その解消にどうするとよいのかを親子とも分かっていますか?あなたのやってみた便秘予防策は効果が出ていますか?

計画がうまくゆかないとき
もしあなたの計画が機能していない、あるいはお子さんの便秘がひどくなってきているのであれば、三つの行動を取ることです。順序通りに考えてください。

  1. "専門家の手助けをいつ受ける"かの項を調べることです。そこに出ている症状などが一つでもあてはまるなら、解説されている指示に従って医師か看護婦に電話をすること。
  2. 新たな戦略(対策)を本計画書を利用して作成すること。
  3. もし、便秘が続いているのであれば、医師か看護婦の援助を受けることです。その時には、あなたは何を行なったか、結果はどうであったかを説明することを忘れずに。



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