第4章 化学療法時の食欲減退


原典:Caring for Young Persons with Cancer at Home 4章
URL:http://www.collmed.psu.edu/pedsonco/Homeguide.html
訳者:撫子なんちゃん

この家庭でのケアに関する情報はほとんどの状況に当てはまると思いますが、あなたの場合は違うかもしれません。
医師や看護婦がここに書かれていないことを勧めるときは、その指示に従ってください。緊急事態がおきそうなときは、専門家の助力を求めるのはいつかを参照してください。

問題を理解する


ガンの子どもは様々な理由から食欲をなくします。精神的な落ち込みが食欲を減退させるように、ガンの治療やその他の薬も食欲を減退させます 。体重が減るとガンをわずらっている人は動揺します。特にそれを、病気が進行している印だとみなす人にとっては不安です。しかし、例えば下痢を止めたりカロリーの高い食品を与えるなど、体重減少の原因に対処すれば急速な体重減少を緩やかなものにすることはできます。
子どもはその正常な発育と発達のために十分な栄養を与えられることが必要ですから、さらに沢山のカロリーが必要になります。何が食欲減退の原因かによって、この問題を解決するためにいくつかの目標を設定するとよいでしょう。

あなたの到達目標

専門家の助力を求めるのはいつか


まず一番の問題は専門家の助力が必要かどうかということです。この家庭看護計画をあなたの子どもさんの主治医や看護婦に見せて、空白をうめるよう頼んでください。

次のようなことがどれか一つでも当てはまれば、診察時間内に連絡してください。

子どもが日間ほとんどたべないとき。
医師や看護婦に子どもの食欲がないことをどういうときに報告するべきか尋ねてください。吐気があって食欲が減退しているのなら、本冊子の「吐気」に関する部分を読み、その症状を和らげるためにできることを試してください。吐気が2〜3日してもまだ続き、子どもさんがほとんど食べないようなら、それを管理し防ぐ方法を見つけるのが大切です。
一週間にkg体重がへったとき。
体重減少についてどのような時に連絡すべきかを医師か看護婦に尋ねてください。医療従事者が言う「許容できる減少量」以上に減っている場合は、診察の時に話し合うか、家庭訪問看護婦が家に訪ねてきた時に話をしてください。
お子さんが食べ物を噛んだり飲み込んだりするのに痛みがあるようなとき。
噛んだり飲み込んだりするのに痛みが伴うようでは、普通に飲食することができません。口内炎や舌、歯肉、のどに感染がある時は痛みが出ます。食欲が急に落ちたら、お子さんに、食べたり、噛んだり、飲み込んだりするときにどこかに異常がないかを尋ねてください。お子さんの口の中に傷がないか調べて、もしあれば、本冊子の「口の痛み」のところを見て症状を和らげるためにあなたにできることを試みてください。

……お子さんにあてはまる数字をにいれるよう医師や看護婦に聞いてください。)


次のようなことが当てはまれば、ただちに連絡してください。

ほとんど何も飲まないとき
子どもが脱水症状に陥らないようにすることが大切です。体液図を参照して、医師や看護婦にお子さんにあてはまるよう書きこんでもらい、水分の摂取量が少なすぎることがないか、判断しましょう。

電話連絡をする場合は医師、看護婦はあなたに以下のような質問をするでしょう。

  1. 今回の食欲低下はいつごろ始まりましたか?
  2. 同じような問題が以前にもありましたか、そのときはどんなことをしたら、食欲がもとに戻ったり、改善されましたか?
  3. 食べ物の味がいつもと違って、苦かったり、金属のような味がしたりしますか?もしそうなら、それが原因で余り食べたくないのですか?
  4. どんな食べ物だとおいしく、あるいは、まずく感じるようになりましたか?
  5. お子さんは口の中が乾いたり、痛んだりしていますか? 飲み込むのがつらいですか?
  6. 口の中のトラブルを改善するために何か薬を使っていますか?
  7. お子さんは食べ出すとすぐに満腹感を感じてしまいますか?
  8. 吐気や、嘔吐、便秘や下痢などの排便のトラブルがありますか?
  9. 食欲に変化があったとき、お子さんが食事をする場所を変えましたか?
  10. お子さんがよく食べたり食べなかったりすることは、食事の時によって違ったり、ある特定の時間によって違ったりしますか?
  11. 体重減少はどれくらいですか?


電話をかける時は次の例のように言うとよいでしょう。ご参考までにどうぞ。

「私はクリストファー・サンハイムの父親で、デビッド・サンハイムといいます。息子はグリーンバーグ先生に診て頂いております。現在、髄芽腫で治療を受けています。家庭看護の食欲のところには、子どもがほとんど食べなかったり飲まなかったりするようなら医師に連絡をするようにとありました。今日、まる一日、数口しか水分を摂っていないのです」

あなたにできること


子どもさんの食欲に関する問題を解決するのに次の4つの方法を試して見てください。

食欲を増進させる
ガンの子どもは治療や感情的な落胆のために食欲がなくなることが時々あります。こうした時に食欲を刺激するのに役立つ方法がいくつかあるので、やってみてください。

食事の前に軽く運動をするか散歩をする。できれば空気が新鮮なところでやるとよい。
食事の前に活動量を増やすことも食欲増進につながります。お子さんと食事時間の前に5分から15分、長くても30分程度、散歩に出かけてみましょう。新鮮な空気を吸うと食欲も必ず増進されます。
可能なら、病気の子どもさんに家族や他の誰かと一緒に食事をとらせる。
お子さんに1人きりで食事をさせないでください。誰かと一緒に食事を摂ると、関心が食事からそれて、自然と食事量が増えます。ガンの診断がおりると食べたくなくなったり、治療や検診のために病院通いで家庭がドタバタし計画が乱れるために、食習慣が 変わることが時折あります。元の正常な食事時間に戻したり、家族が一緒に食事をするように計画することで、食欲も増進されるでしょう。
食事は楽しく、くつろいだ雰囲気の中で 素敵な感じにしてとらせる。
小さ目のお皿を使い、少しずつ盛ってあげるか、大きなお皿でも色々なものを少しずつ盛り付けて試してみてください。小皿に少しずつのっていると素敵に見えますし、食べてしまえそうに見えるものです。小さいお子さんなら、大皿に少しずつのせてあげるのが一層効果的かもしれません。
口に凍みなければ、レモネードやオレンジジュースをあげる。
ジュースには食欲を刺激する酸が含まれています。食前に少量あげると食欲がたかまることもあります。


鼻につく嫌な味やにおいを抑える。
ガンの治療を受けていると、子どもさんにとって食べ物の味が変わることが時々あります。もとのように食事をおいしく感じられるようにするためにいくつかできることがあります。

プラスチックの道具を使う。
プラスチックのフォーク・スプーン・ナイフなどを使えば、化学療法を受けている患者さんが共通して訴える苦味や金属の味(金気くささ)を除くことができます。
目新しいスパイスを使う。
例えば、バジル、カレー、コリアンダー、ミント、オレガノ、ローズマリーなど。スパイスを使うと唾液の分泌が促進され、食べ物の味が変わります。お子さんがまた空腹感を感じられるようなスパイスを見つけてみてください。使い慣れたスパイスも使い方を変えてください。化学療法を受けると時々味覚が変わるからです。でも、化学療法の治療のある日に、使ったことのない香りや味にしたり食べたことのないものを試すのは避けましょう。お子さんがその食べ物とつらい経験を結び付けるようになってしまい、この先もその食べ物が嫌いになってしまうからです。
レモンや、ピクルス、サラダドレッシング、ビネガー、マヨネーズ、薬味、フルーツジュースなどで、目先を変える。
肉はフルーツジュース、サラダドレッシング、甘酢ソース、醤油、バーベキューソースなどでマリネ漬けにする。
ソースやマリネ漬けにすると風味が変わり、おいしく感じます。
制限されていなければ、食べ物に砂糖や塩を振りかける。
こうするとガン患者の共通の訴えである口の苦味や金属の味を弱めることができます。化学療法を受けている人の中には甘いのが我慢できない人があるので、その時は砂糖は控えめに使ってください。
食べ物を冷やしてから食べる
低温にすると食べ物のにおいや味は抑えられます。香りは消えたり、長く残りません。 冷たい食べ物はにおいも味も抑えられますから嫌な味は消えます。さらに、冷たいとある種の不快な味に対しても舌が鈍くなります。
ハードキャンディ、シュガーレスキャンディ、サワーキャンディ、ミントキャンディなどをなめる。小さい子どもにはロリポップキャンディをあげる。
こうしたキャンディは食事の前でもいつでも変な味がするのを消すことができます。小さい子どもはのどに詰めるといけないので、4歳以上の子どもさんだけにあげてください。
ジンジャーエールやミントティを飲む。
ジンジャーエールやミントティは金属の味がするのを抑え、食べ物を飲み込み易くします。
赤みの肉をさけ、チキン、魚を食べる。
舌のみらい細胞に変化が起こるため、赤みの肉はおいしく感じなくなることがあります。化学療法を受けている人は以前と味の変わらない、チキンや魚の方を好むことが多いようです。

すぐに満腹感が出るのを防ぐ
食欲が出ないのはすぐに満腹感がでてしまうからでもあります。時には薬が消化器の中でガスを発生させ、お子さんはほんの少ししか食べてないのにおなかが膨れてしまいます。以下はこれに対処するための6つの作戦です。

食事の間に運動をする。
運動をすると消化管の運動が促進され、間隙にあるガスが揺すられてまとまります。椅子やソファーから離れ、ストレッチをしたりウエストをひねるだけでも、おなかのガスを解放させ、おなかの内容物が動きます。
食事の後しばらくは散歩をするか座っている。食事の直後の激しい運動は避ける。
どんな運動でも消化管の蠕動運動を促進します。これが胃を空にし、ガスを消して、満腹感が出やすくなるのを防ぎます。
食事中にではなく、食事の合間に飲み物を飲む。
食事の時に水分を摂るとおなかがいっぱいになります。食事中に飲むのを控えれば、食べ物が入るスペースが確保できます。
少量を一日に6〜8回に分けて何度も摂るようにする。
少しずつ何度も食事や軽食をとれば、すぐに満腹になるのを防げます。
ゆっくりよく噛んで食べる。ある種の野菜や炭水化物を避ける。
油っぽい食品を減らし、ガスが溜まるような食品―例えば、豆類、きゅうり、ピーマン、玉ねぎ、ブロッコリ、芽キャベツ、トウモロコシ、カリフラワー、サワークラウト(キャベツの塩漬け)、かぶ、キャベツ、チューインガム、牛乳、ルータベーガ、炭酸飲料などを避けます。野菜の中には自然に胃の中や腸でガスを発生し、消化はゆっくりとされるために、お子さんの満腹感が続いてしまうようなものがあります。炭酸飲料や水分だけでなく、そうしたものを避けます。炭酸飲料は缶やビンを早めに開けておいて泡をとばし、ソーダの気を抜きます。
OTC薬を使って消化管内のガスを消す。
消化管内のガスを消すような生薬や薬品がOTC販売薬品のなかにあります。中でもシメチコン(ガスコン)は消化管内のガスを取り除くのにとても有効です。OTC薬には治療の薬と一緒に服用するといけないものもありますから、買う前に医師や看護婦に確認してください。

タンパク質やカロリーが高いものを摂取できるようにする。
食べるものの栄養価(特にカロリーやタンパク質)を高くすれば、急速な体重減少の速度を和らげることができます。次の2ページには食品の栄養価を高くする16の提案が書かれています。

お子さんがおなかが空いてなくても、少しずつ、何度も(一日6回ほど)スナックをとらせる。欲しいだけでいいから食べるように促す。
少しずつ何度もとれば、総量としては高タンパク、高カロリー摂取にできるでしょう。
栄養のある炭水化物や、高蛋白のものを選ぶ。
魚、チキン、ターキー、卵、チーズ、ミルク、アイスクリーム、豆腐、ナッツ類、ピーナツバター、ヨーグルト、まめ類、えんどうなど。利用できる食品目からできるだけ多く、タンパク質と炭水化物を摂るようにします。これはpower-packing foods(力を詰め込んだ食品)というものです。
バターやマーガリンを野菜、スープ、パスタ類、シリアル、ご飯などに加える。
脂肪、カロリーを高くします。
砂糖、シロップ、蜂蜜、ジェリーを野菜類、肉類、シリアル、ワッフル、ロールパンなどにつける。
甘いソースを使うとカロリーが高くなります。
サワークリーム、クリームチーズをベイクドポテト、野菜、クラッカーなどに添える。
クリームは脂肪、栄養分が豊かで、飲み込みやすいです。
ホイップクリームをホットチョコレート(ココア)、アイスクリーム、パイ、プリン、ゼリー、その他のデザートに添えて食べる。
ホイップクリームに砂糖を加えて、カロリーも脂肪も高くします。
粉末のコーヒー用クリームや粉末ミルクをグレービーソース、ソース、スープ、シリアル料理に加える。
こうした粉末ミルクは、よいカルシウム源です。
水の代わりに牛乳を使ってスープの希釈やシリアル料理に使う。料理に水を使うものでは、代わりに牛乳を使う。
哺乳ビンを使っている子どもでは、高カロリー調整のミルクを使う。
これらの製品は店舗や薬局で買えます。看護婦や栄養士に聞いて見てください。
お料理で、サラダドレッシングの代わりにマヨネーズを使い、ミルクを使うものは代わりにライトクリームを使う。
マヨネーズにはサラダドレッシングよりカロリーが高いです。ライトクリームも牛乳より脂肪、カロリーが高いです。
ミルク類の飲み物にはアイスクリームを入れる。
アイスクリームを入れると牛乳より乳脂肪やカロリーが高くなります。
飲料用または料理で水の代用として、全乳1クォート にスキムミルク1カップを加えた物を使う。
こうすると、普通の牛乳(乳脂肪4%のもの)と比べて、2倍以上のタンパク質やカロリーが摂れます。
ハーフ&ハーフかエバミルクを水の代わりに料理に使う。
料理に、水分の代わりにハーフ&ハーフかエバミルクを使います。半クリーム半ミルクのハーフ&ハーフやエバミルクは脂肪分、タンパク質、カロリーが水より遥かに高く大切なミネラルやその他の栄養素も豊かに摂れます。また、ガンを抱えている人は余分にカロリーを取るために、「インスタント朝食」配合飲料を飲む人がたくさんいます。(商品− )食品スーパーに売られています。
ピーナツバターをクラッカーや、パン、ワッフル 、りんご、セロリなどにつけて食べる。
ピーナツバターはタンパク質が豊富でカロリーも高、とてもよい栄養源です。
つぶしたグラノーラ、ナッツ、種子、小麦胚芽をシェイクにしたり、デザートにしたりする。
成分栄養剤を食事の間や、軽食の時にとる。たとえば、Isocal・Ensure・ Sustacal・ Resource・ Citrotein(エンシュアリキッド・サスタジェン・エレンタール・クリニミール)など。
これらの粉末状、あるいは液状の栄養剤はたいていのドラッグストアで購入できます。医師、看護婦、薬剤師に購入法を尋ね処方を頼みます。また、州によっては、米国ガン協会ではこうした補給剤の購入を支援します。(訳注−医師に処方箋を書いてもらってください)
腸を浄化するために作られた健康食品は摂らない。また特定の食品、食品群の摂取を制限する。
腸の浄化目的の健康食品がありますが、そうしたものは便を緩くし、身体に大切なビタミン類・ミネラル・水分を奪います。ガンの子どもはこうした栄養素がとても身体に必要ですから、そのような食品は避けるべきです。
お子さんの主治医やナースにビタミン補給剤を使うことを尋ねる 。
ビタミン剤は食欲が減って食べ物の摂取量が減ったために身体に不足しているものを幾らか補ってくれます。毎日総合ビタミン剤や鉄剤を服用することは食事を補給するものとして大切です。しかしビタミンの中には、ある種の化学療法剤の効果を減弱させるものもあり、服用前には医師、看護婦に確認するべきです。例えば、ビタミンB群はメソトレキセート(MTX)の効果を弱めます。メソトレキセートは白血病で治療を受けている子どもがよく投薬されているものです。(訳者注−MTXの服用前後にビタミンCをとるとMTXの毒性が強まります。直前直後にCを服用するのは避けてください)医師、看護婦、栄養士などの医療従事者はお子さんが服用しても安心なビタミン剤名を勧めてくれるでしょう。

考えられる問題点


あなたの計画を実行する妨げになるものが何で、それにどう対処するかについて考えてみましょう。

これまでに他の方々が経験されてきた問題点です。

回答:食べ物に関心がないというのは簡単には変えられません。子どもさんが一緒にいて楽しい人たちと共に少しずつ軽食をとらせるようにしてみてください。本編に書かれているその他の助言を試してみてください。でも、あまり食べさせることばかりに焦点を当てないようにしましょう。子どもさんに聞いたり話したりすることがそのことだけになってしまわないように。

あなたの計画を実行し調整する


結果をチェックする
お子さんが食べる食事の量と体重を記録に残しましょう。問題があり、専門家の助力を借りたい時は、「専門家の助力を求めるのはいつか」を参照してください。お子さんの食事が進まないのは嫌なにおいや味のせいか、口の乾燥や痛みのせいか、満腹感がすぐに出るせいかなどを見極める努力をしてください。
あなたの思い通りに行かない時は
もし、こうした目的に向かって努力してきたのに、食欲減退の問題も解決されず、成果に満足できない時は、本編の食欲に関する問題の一覧を復習して、問題を解決するのに障害になっていることを選んでみてください。次に、小見出しの下の提案を見直してみて、自分の計画にさらにどれを追加するか考えてみてください。このほかにも、米国立ガン研究所NCIが出している無料の「食事のヒントEating Hints」というパンフレットなどが参考になります。必要なら看護婦か栄養士に頼んでください。

あなたやお子さんが、効果が上がらなくてがっかりしているようなら、心配なことを医師や看護婦に声に出して伝えてください。あなたを栄養士に紹介し、栄養士がまた別なアイデアを出してくれたり、食事が適切かどうかを分析してくれることもあります。医師もまた、あなたがこの問題を解決できるように、他の提案をしてくれることでしょう。


(この章を読んで−訳者からの感想)
私の子どもが診断された時は4歳でした。化学療法を受けることで正常な細胞がこわされること、白血病で貧血ぎみなこと、ステロイドホルモンで食欲にムラがでること、真菌感染の予防薬がどうしようもなくいやだったこと、化学療法で吐気がすることなど色々あり、それはそれは、やはり、食事が気になりました。下には離乳後の赤ちゃんもいました。ふう。。。そんな時、ここにあるようなヒントを読み、日本食材料が外国でも豊富にあるとはいうものの、近くのマーケットはやはり米国流でしたから、料理する方もすこし米国流にしました。日本に帰って来て、食事のケアで耳にした事は、野菜を取りなさいということだけでした。確かに、野菜から自然な形でビタミン(とくにβカロチン)やミネラル、繊維質を取る事はガンの予防、再発予防として、医師ではなく母親にできる補助的なケアでしょうが、治療の初期の頃などは、こうしたアドバイスが大変に参考になりました。ステロイドを服用しているときは、ムーンフェイスにもなり、塩分や脂肪分を摂り過ぎないように気を配りました。このパンフに書かれている通りに全部やれば、矛盾も生じ、脂肪の取り過ぎにもなってしまいそうな気がし ますが、とにかく、失われた細胞の修復のため、急激な体重減少をカバーするためにも、独創性を活かしながらここにあるヒントをいくつか取り入れて、少しでもお子さんが体力、抵抗力をつけてくださったらうれしいです。

以下は、化学療法中当時の娘が口に合ったものの一例です。

間食
アイスクリーム・チーズケーキ・ストリングチーズ
ヨーグルトにルバーブを甘く炊いたソースをかけたり、いちご・キウイをいれる
朝食クラッカーにクリームチーズやピーナツバターをはさんだもの。
(プレドニンはミルクで飲んでいた時もありました。)
飲み物はミントティーやカモミールティー、アップルサイダー、ジュースもいろいろ
ジャンクフードのおやつは油や塩が多いのであまり食べさせませんでした(ポテトチップなど)。
セロリ、にんじんのジャム風、レッドピーマン(甘くておいしいね)、りんご、メロン、チェリーなど果物、野菜を沢山。
おやつにはホイップクリームとフルーツをクレープで巻いて。
ジャガイモは新聞にくるんでチンしてクリームチーズやバターをつければ、ほーら簡単。
きなこ・黒砂糖であべかわも大好き

食事
朝は必ずにんじんとりんごのジュースを飲みました。
食欲のない時はいちご、バナナ、ミルク(たまに卵の黄身)などでミキサーシェイク。
シナモンをきかせたフレンチトースト(ミルクもたっぷりやわらかめ)
素朴なおかゆ&梅干しが口にあったみたい。
オムレツ(チーズ風味、トマトソースかけなど)→★化学療法中はトマト風味が口に合うとか。
ミートボールスパゲッティ
ハッシュドビーフ
野菜を圧力鍋で煮てやわらかくしたスープ(ほうれん草や人参をブロッコリー、セロリ、トマトなどをベーコン少量と一緒に薄味のもの 、スパイスもいれてね)
チキンのホワイトミートや野菜のスープ、
クラムチャウダー(エバミルクをたっぷりいれて、野菜もたっぷりボストンチャウダー)
ほうれん草と卵、チーズ、クリームでココット風
ホワイトクリームのコキール、グラタン、ドリアなど乳製品の多いもの
ブロッコリーの天ぷらは格別、ごまあえもいけますよ
おでんなら牛スジでなく鶏の手羽をぼこぼこ入れる。
中国風かゆ・トロトロの豚の角煮
刺し身(お醤油を嫌がりました)
(なぜかひどい吐気がおさまったあとはお寿司を食べたがりました。)
すね肉を使ったシチューで野菜が盛りだくさん(玉ねぎ、人参、馬鈴薯、パセリなど)を圧力鍋で煮込んだもの。
チキンのシチューなら、ミルクベース、スキムミルクや粉チーズを入れて高カロリーに。
すき焼きやしゃぶしゃぶは主に野菜や豆腐。
鶏のレバを主体にしたすき焼き風のもつ鍋・茶碗蒸・水餃子などなど

治療中にどんなお食事をとっていましたか? 実例を良かったらお寄せください。
工夫は共有しましょう。


目次に戻る

次に行く