- [1] (98.1.25〜2.27)- | |
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▼日本の骨髄バンクが、米国や世界の常識では考えられない運営と情報データ管理をやっていることが発覚した。
▼米国バンク向けにだけ迅速な予備検索を実施し、国内向けには従来どおりのスローな対応をしているのだ。こんなことは許されない。
骨髄バンクというのは公正・公平なものである。どんな人(たとえ政治家であっても医療界のドンであっても)から圧力があっても、特定の患者を「えこひいき」して特別にたくさんのドナー候補をリストアップしたり、囲い込んだり、斡旋を早く行うことは許されない。ドナー登録者のデータは漏洩なくしっかり管理されなければならない。これ、常識。イロハのイだ。やったとしたら、不正だし、骨髄バンク事業の根底を揺るがすだろう。
ところが驚くなかれ。日本の骨髄バンク(骨髄移植推進財団)はえこひいきするらしい。いったい誰に対して?。それは米国に対してだ。
日本の骨髄バンクは「2重のルール」をもっている。
日本の患者向けには1週間かけて検索を行う。データベースをもっている日本赤十字社との間は書留郵便つかってやる。料金は3万円だ。米国向けには2日ほどでやる。電話、ファクス、電子メールでやりとりする。料金は無料だ。つまり「予備検索」と呼ばれる無料で迅速なやり方だ。
予備検索は患者のために重要で世界的にも主流の「国際標準」になっている。ずっと前から、日本のバンクにも時代がかったのろいやり方をあらためて、予備検索を導入することが求められていた。だが、財団は97年12月から秘密裏に米国(NMDP=米国骨髄バンク)向けだけには予備検索を実施していたのだ。
これは日本の骨髄バンクが発表するデータにも反映されている。骨髄バンクは毎月、海外提携による成果を発表している。
それによると97年4月から98年1月末までの9カ月の実績は−−
日本→米国 予備検索170件(適合94件)、正式登録79件、移植11件
米国→日本 照会231件、正式登録・検索9件(適合6件)
だが、97年12月末までの数字は次のとおりだった−−
日本→米国 予備検索件165(適合85件)、正式登録72件、移植9件
米国→日本 照会106件、正式登録・検索6件(適合3件)
(当初、照会が49件と発表したが後に106件と訂正した)
米国から日本への照会は11月までの8カ月で47件だった。12月だけで59件増加、1月は125件も増えた。増えたこと自体は望ましい。米国に住む患者のメリットになっているはずだ。財団は増加の理由を「米国から検索しやすい体制が整ったから」としている。要するに、12月から米国向けには予備検索を実施していたのだ。日本の骨髄バンクよ、良くやった。やればできるじゃないか。拍手、拍手。日本の患者向けにもすぐやってよ。
コトはそう簡単ではない。冒頭に書いたような骨髄バンクという事業の性格からは許されない。米国の患者だけベターなサービスが受けられる理由はなぜだろう。米国に住む人は「優れていて命の価値が高い」というお考えだろうか。これは、骨髄バンクの原理原則に反する思想である。骨髄バンクの破たんである。
日本の患者は怒るだろう。怒るべきだし、怒る権利がある。「お前たちの命は後回しにする」と言われたのに等しいのだから。登録ドナーは憤慨するだろう。「私たちは患者さんがなるべく助かるように登録したのです。できるだけこの善意を有効に活用してもらいたいが、えこひいきはして欲しくない」と。裏切り行為と呼ばれても仕方ない。ボランティアや医師たちも、がっかりするだろう。「これまでみんなで一生懸命盛り立ててきたのに」、と。
公平性の問題は基礎の基礎だ。だれなんびとも骨髄バンクでは区別、差別されてはならない。骨髄バンクは公平性を踏みにじったのだ。超えてはいけない一線である。骨髄バンクはいったいどんな感覚で運営されているのだろうか。
国際提携をあれだけさぼり遅らせておいて、やり始めたら、特に外圧があったわけでもないのに、特別扱いの逆差別をしてしまう。この卑屈さは悲しい。
現場や担当者は善意でやったのかも知れない。できるだけのことをしたいと。だが、そういう問題ではないのだ。組織として書留郵便方式の改善さえできない骨髄バンクは、一方で、何らの機関決定なしに「海外向けの予備検索実施」はやってしまう。組織としては体をなしていない。「失格」の烙印を押されて仕方ないだろう。図らずも、組織の不適合さを露呈した。要するに、現体制では国際提携時代の骨髄バンクを運営することは無理なのだ。
本筋は何だろう。
正々堂々とした全体の改革だ。「患者のために」という視点からの業務プロセスの全体的見直しだ。KENが1年ほど前から提言しているように、全体的な改革だ(このホームページの「闘病記」のコーナー、「日本骨髄バンク異質論」「閉鎖的な日本の骨髄バンク」「日本骨髄バンクへの提言」をご参照下さい)。
そして米国向けにやった以上、3月1日から即刻、日本向けにも「予備検索」を実施するしかない。民間人の常識では、担当者や監督者、財団トップ層の責任問題も避けられないだろう。厚生省は、骨髄バンクに対して「業務改善計画」の提出を求めざるを得ないでしょう。
みんなの善意でできた骨髄バンクが泣いている。
患者のみなさん、ドナー登録者のみなさん、寄付者のみなさん、骨髄バンクと厚生省に電話をして抗議をしましょう。分かってはいると思いますが、言うべき事は「米国向けの予備検索をやめろ」ではありません。「3月1日から国内向けにも予備検索を開始して下さい。そして財団の綱紀刷新を進めて下さい」−−ということです。
▽ 骨髄移植推進財団(日本骨髄バンク) 郵便番号160-0022 東京都新宿区新宿2丁目13番12号 新宿ISビル
電話03-3355-5041 ファクス03-3355-5090 ホームページhttp://www.jmdp.or.jp ニフティサーブ・骨髄バンクフォーラム(GO FMARROW)の「提言」コーナー
▽厚生省臓器移植対策室 厚生省電話03-3503-1711
このほど日本の骨髄バンクと米国の骨髄バンクの提携状況の月次発表が行われた。それによるとこれまでの実績は次のとおり。
(97年4月〜98年1月末)
日本→アメリカ 予備検索170件(適合94件)、正式登録79件、移植11件
アメリカ→日本 照会231件、正式登録・検索9件(適合6件)
だが不思議である。先月の数字から大きな変化があったからだ。
(97年4月〜97年12月末)
日本→アメリカ 予備検索件165(適合85件)、正式登録72件、移植9件
アメリカ→日本 照会49件、正式登録・検索6件(適合3件)
すなわちアメリカから日本への照会が49件から231件に急増している。実は、日本からの照会より米国からの照会の方が多かったのだ。こんな急増は常識では考えられない。数字に何らかの定義変更があったようだ。財団は公表資料にそれを説明していないので、ここはKENが想像力をたくましくして推理してみよう。
【推測】
○米国から問い合わせがあると予備検索を実施していた。その上で一次検索をしていた。これまでは一次検索の数字を発表していたが、今回、予備検索の数字を照会という定義にすることにした。
【疑念!?】
○日本の患者向けには実施されていない予備検索が海外からの場合は実施されていたということか。もしそうだとしたら、ダブルスタンダードだ。日本の患者にもすぐ予備検索を実施してほしい。日本骨髄バンクの方針もそちらの方向だと思うが、できるだけ早く!
◇推理が大はずれだったら笑って忘れて下さい。どなたか真相をご存じの方がいらっしゃったらぜひ教えて下さい。
2月23日、朝日新聞の「声」欄にKENの投稿が載りました。ここにご紹介します。いろいろ取り組まなくてはならない問題は多いですが、人命救助が第一です。骨髄バンクを「大きく、迅速に」することが優先課題のひとつだと思います。すぐにでも直せることに手がつけられていないんです。ドナー登録された方もぜひ発言して下さい。「われわれがドナー登録したのは、必要な患者さんにできるだけ早く使ってもらうためです。われわれの善意が有効に使われていないのは骨髄バンクの怠慢です」と。(以下、記事全文)
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##タイトル
骨髄バンクの
迅速化を求む
##本文
約七カ月と約三カ月半。日本と米国では骨髄移植ができるまでの待ち時間がこんなに違う。白血病になった妻のために、日米の骨髄バンクでドナーを探して知った。
骨髄移植を受けると決めたら、実施は早い方がいい。間に合わなくて亡くなってしまう患者さんは毎年かなりの数に上る。まさに時間との戦いなのだ。
ところが、日本の骨髄バンクの事務作業はのんきそのものに思える。米国では骨髄バンクに問い合わせてから二十四時間以内に返事がくる。日本では一週間程かかる。こうした違いが積もり積もって数カ月の差になる。
米国バンクでは問い合わせに対し、その場でコンピューター検索して、すぐファクスなどで返事を出す。日本では、骨髄提供候補者のデータベースは日本赤十字にあるので、骨髄バンクは主治医からきた患者のデータを書留郵便で赤十字に送る。赤十字はコンピューターで検索した情報を、骨髄バンクにまた書留郵便で返送する。「設立時に決めたやり方を踏襲しているから」と骨髄バンクは言う。
オンラインで結んだり、ファクスでやりとりするだけで、もっと患者さんの命が救えるようになる。即刻改善して欲しい。
##おわり
2月13日、厚生省主催の「第2回臍帯血移植検討会」が行われた。
議論はまだまだ入り口にあるし、混迷もしているが、5月をめどに結論を出すことだけは決まっている。厚生省が主催している以上、「やりません」という結論にはなりにくい。公的バンクにゴーサインが出ることになるだろう。これは朗報だ。骨髄バンクと臍帯血バンクが相まって、さらに多くの患者さんの命が救えるようになるだろうからだ。だが問題は,いかにしっかりした内容のものになるか。そして、骨髄バンクの失敗から,教訓と反省がどれだけ導き出せるかだ。
今回の検討会のポイントは−−
ポイント1 臍帯血移植が公式に認知された。厚生省が配布した資料に、「白血病等の血液疾患に対する治療法」があった。この中のチャートで、臍帯血移植が骨髄移植とならんで重要な治療法と位置づけられた。これ自体は当たり前のことだけど、厚生省の資料でこうした位置づけが示されたのは初めてで,意義が大きい。
ポイント2 文民統制が利くか。検討会でもやはり専門家の発言力が強い。医師や学者などだ。公的バンクは社会システムであり、一般有識者、患者代表、ドナーを集めるボランティアなどが発言力をもつべき。医師は専門的情報の提供者という立場に退くべきだ。「臍帯血は臓器か血液か」という論争を専門家はしている。制度に現実をあてはめる解釈に汲々としている。また,これは縄張り争いでもある。しかし、患者サイドからすれば、「患者にできるだけのチャンスを与えるように制度を作る」ことしかないと思うのだが。
ポイント3 日本にいま9つの地域臍帯血バンクがある。しかし、この分布が妙だ。北海道、近畿などと地域ごとになっているのもあれば、神奈川県には2つもある。けっこう協調性がないのだなあ。それに医師がすべてを牛耳っているところもある。それにしても、臍帯血バンクの盛り上がりはボランティア運動のたまものであるが、医師の覇権争いの道具にされないように注意しなければならない。
ポイント4 前回の検討会でもいろいろあった。最大の問題は、専門家たちが臍帯血移植の成績について,逃げを打ったことだろう。臍帯血移植が骨髄移植や末梢血幹肝細胞移植より成績が優れている、あるいは総合的にみてメリットがあるということや,その見込みがあってこそ、これを推進することになる。だが、検討会には比較検討に十分な資料が出されなかった。ある委員からこの点を聞かれると、ひとりの専門医があいまいな答えをし、それに対して司会の医師が「この点はみなさんご了解下さい」と言って先に進んでしまった。こんなことをちゃんと説明せずに科学者だと言えるのだろうか。こんな重要なポイントをごまかして先に進むようでは先が思いやられる。
次回は3月6日(金),午前10時から
公的骨髄バンクを支援する東京の会の会報に連載をさせていただくことになりました。第一回目は「セカンドオピニオン」について。ここでも記事を掲載させていただきます。
今後、「日本人Sさんの日米医療体験」「カルテは誰のものか」「患者の権利章典と患者相談窓口」「入院と外来・自宅療養)」「米国バンクと日本のバンク」「日本の医療保険と米国の保険」「無菌室の神話」「ガンの告知」などのテーマを扱って行きます。どうぞ、情報やご自身の体験談をお寄せ下さい。連載に盛り込んでいきたいと思っています。よろしく。
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(患者の視点からの)日米医療比較 連載1「セカンドオピニオン」
残念ながら、どうやら日本の医療は米国にずいぶん遅れをとっている。米国での闘病体験からそう実感せざるを得ない。どこが遅れているのだろうか? さまざまな問題の根底には患者不在がある。
患者のために患者が立ち上がらなければ、日本の医療は変わりそうにない。
まずは簡単な自己紹介から――。米国に滞在中に妻が急性骨髄性白血病と診断されたため、米国で13カ月におよぶ闘病生活を送った。妻は、世界最高のガン病院と言われるニューヨークの「スローン・ケッタリング記念がんセンター」で治療をはじめ、世界1の骨髄移植センターである「フレッド・ハッチンソンがん研究センター(ワシントン州シアトル)」で骨髄移植を受けた。移植は順調だったが白血病が再発し、妻は帰らぬ人となった。私は今、インターネットホームページ(http://www.marrow.or.jp/KEN/)をもち、自分なりのボランティア活動をしている。
米国の医療にも不満はいっぱいある。日本にも良い医者はいっぱいいる。でも、全体としてはやっぱり「米国はすごい」と思わざるを得ない。日本に帰国してからいろいろな事情を知るにつれ、日本は「医療技術は5年遅れ、病院体制は10年遅れ、社会体制は30年遅れ」という感じが否めない。機運が高まっている医療改革が「単なる経費削減」に陥らぬよう、謙虚な姿勢で、米国医療から多くの教訓を引き出すべきではないだろうか。
セカンド・オピニオン(他の医師に正式に意見を聞くこと)がまだ日本では普及していない。「どの病院、医師、治療法がベストか」、自由に質問し議論できる素地がなくては医療の発展はありえないし、患者の納得もありえないと思う。
「これでいいのだろうか」。闘病は迷いの連続だ。白血病の治療でも「骨髄移植をすべきか否か」「どんな骨髄移植をすべきか(血縁、非血縁、自家骨髄移植など)」「どこの病院でいつやるべきか」「化学療法はどの抗ガン剤をどれくらい使うか」などなど、判断が人によって分かれる点が少なくない。たまたま最初にかかった主治医の意見ですべてを決められるように簡単なことではないのだ。
妻の場合もいろいろな選択肢があった。できるだけ情報を集め、いろんな医師に相談をした結果、フレッド・ハッチンソンでとったセカンド・オピニオンに基づいて同病院に転院した。
米国では「セカンド・オピニオン」は常識だ。正々堂々と行われる。日本ではまだ、日陰でやましいことをするようなイメージが払拭できない。われわれはスローン・ケッタリングの主治医から「セカンド・オピニオンはどうしますか」と訊ねられた。具体的な手続きのやり方も元の主治医が教えてくれたし、フレッド・ハッチンソンの医師まで紹介してくれた。
セカンド・オピニオンを取るにはどうすればいいのか。医師の紹介はなくてもいい。希望する病院に電話をするだけだ。時間の予約をとり、元の主治医からカルテ(必要ならばレントゲンフィルムも)などをもらって、病院に持参。検診を受け、医師とコンファランス(会議)をもつ。そこで意見の概要は聞けるし、後に患者と元の主治医に正式に文書で見解(オピニオン)が届く。
どの医師にセカンド・オピニオンを取ればいいか、分からないときも多い。それは元の主治医に相談してもいいし、医療保険会社や米国骨髄バンク、全国各地にある白血病協会などに訊ねてもいい。保険会社には多くの患者さんの治療結果が集まっている。だから病院の成績も大体把握している。多くの医療保険がセカンド・オピニオンの取得費用、さらには転院にともなう家賃負担などを一定限度額内で負担してくれる。ホテルや飛行機の予約までやってくれるその親身なサービスにはとても感銘を受けた。
米国の骨髄バンクは、病院別・疾病別の非血縁骨髄移植の実施数を定期的に発表している(日本の骨髄バンクは数字を発表していないが、昨年9月末の実績を私が入手して公表した。お問い合わせは協議会まで)。もちろん、実績数は病院選びのひとつの重要な指標になる。
米国ではセカンド・オピニオンは、医療の統治(ガバナンス=関係者たちの権利と責任の調整と相互監視のシステム)機構の要(かなめ)になっている。医師、保険、患者という3つの当事者の三権分立がある。医師は医師同士で競争し、保険と患者のチェックを受ける。日本ではセカンド・オピニオンや転院はまだまだ患者にとって相当の覚悟がいる。ある患者さんは転院を決心したところ、元の主治医からカルテももらえず、「どうなっても知りませんよ」と捨てゼリフを吐かれたという。米国では考えられないこうした事例を耳にすることが余りにも多い。
言ってみれば、医療について米国は「民主主義」になっているが、日本は「封建主義」のままなのかも知れない。これだけ日本の社会、経済、文化が成熟しつつあるなかで、医療だけが旧態依然でいることはあり得ないのに。
(第一回終わり)
2月6日、厚生省がスポンサーの「造血細胞移植と免疫応答に関する研究班」の公開シンポジウムがあった。日本の骨髄移植関連の医師・学者の権威が一同に集まり、最新の成果が発表された。ここに、KENなりにレポートします。これは未確認情報を含む速報ですので、ご了解下さい。
■笹月建彦先生。「HLAタイピングと移植成績について」
ハンサムだなあ。頭がいいなあ。世界中どこに出しても恥ずかしくないね。シアトルのハッチで講演を聞いたときもそう思った。
要点は「A、B座を遺伝子レベルでマッチングすると移植の生存率が高くなる」「C座が遺伝子レベルで合っていないとGVHDは増えるが再発が減る。これはC座が、異物を排除するナチュラルキラー細胞が異物を攻撃するとき重要な役割を果たすから。理屈から言うと、C座はミスマッチのドナーを選び、Tセル除去方式でやると、急性GVHDを出さず、かつ長期的には再発を防げるということになる」。基礎研究と臨床の学際研究で画期的な意味あある。
ただし、どんどん厳密に調べるのは素晴らしいが、現実には、どのドナーからいただくかは、待ち時間とマッチ度のバランスで判断することになる。そのあたりの医者の判断力やサーチプログラムのソフトウエアが追いつくか心配。
■十字猛夫先生。「血小板の抗原とGVHDについて」。
赤十字の「十字」先生というのだからかっこいいよね。これこそ天職というのでしょう。公開シンポなのに「業界用語(専門用語)」でお話になってさっぱり分からない。どうやら「血小板抗原のHPA5というのがあるとGVHDが増える」ということらしい。ひょっとして、移植の型合わせに血小板抗原まで着目し、HPA5がないドナーを選択するような日がくるのかな。
■小寺良尚先生。「FK506のGVHD抑制効果について」
シンポジウムの前日に朝日新聞に記事「タクロリムスがGVHDの予防に有効」が載るなど、何やら意図した情報流布を感じる。かつての代表的な免疫抑制剤であったサイクロスポリンよりFK506(タクロリムス)を使った方が、GVHDは抑制されるとのこと(ただしまだ統計的有意はない)。
「FK506の方が優れているという心象をもっているが、治検期間が切れてしまった。他の移植では使われている。だから治検期間を伸ばすか、医療保険認定してほしい」。要するにそういう意図の情報だろう。うなづけることではある。
FK506は日本製(藤沢)だから力が入る。数年前、FK506を開発したとき、それだけで藤沢の株価がたしか2倍ぐらいになった。うちのカミさんはサイクロスポリンから途中でFK506に切り替えた。GVHDの世界1(たぶん)の権威であるフレッド・ハッチンソンのストーブ博士は「日本で良い結果が出ているのは知っている。だが、一長一短がある。慎重に見ている」と言っていた。でも、たぶん流れはFK506へ行くということでしょう。うちのカミさんの場合、FK506は腎臓にもやさしかったみたい。でも、再発してしまったから仕方ないが・・・。
そういう意味では、GVHD抑制だけでなく、治癒率という観点からもFK506の医学的治検データを集めて欲しいものだ。FK506は日本のエースだから頑張ってほしいねえ。
■原田実根先生。「抹消血幹細胞移植の現況について」
ドナーに麻酔をかけて腰骨から骨髄を採取するのでなく、腕の血管からアフェレーシス(血液成分分離)して採取した幹細胞を輸血することで移植するという手法。自家骨髄移植では普通。いま同胞(兄弟・姉妹)間ではかなり普及してきた。これから非血縁(骨髄バンクを通した移植)でも使っていくかが焦点。欧米ではすでに1800例ある? 日本では4例?
一種の白血球増殖因子であるG−CSFという薬をドナーに注射するので、その安全性が心配。G−CSFは患者に対しては、化学療法や骨髄移植の後でかなり一般的に使われている。これも日本で開発された薬(キリンビール)なので、日本が使用で先行している。G−CSFが白血病細胞の増殖を刺激してしまうという報告も一部あるが、大勢は早く血球を戻すことで感染症リスクを減らす効果があると見られていると思う。
これまたちなみに、うちのカミさんの場合、スローンケッタリングはG−CSF推進派だった。いつもどんどん使った。一方、フレッドハッチンソンは保守派だった。生着が遅いとみたときだけ使る方針だった(結局、移植中止のあとと、移植後と両方使った)。
ドナーへのG−CSF使用による事故が米国では報告されている。米国の医師によると、膵臓?破裂などの事故があったらしいが、たしか必ず併用しなければならないカルシウム剤?投与をケアレスミスで怠ったせいらしい。いずれも致命的事故はなく、G−CSFの正しい使い方がされなかったからと聞いた。全身麻酔リスクとG−CSFリスクをどっちが大きいとみるべきかの問題。
このパートを浅野茂隆先生が司会の予定だったのは驚いた。浅野先生は臍帯血推進派で、同種抹消血幹細胞移植とはある意味でライバル関係(本来、補完的関係ではありますが)と理解していたから。だからかどうかは知らないが、浅野先生は急用で司会を降りた。
■中畑龍俊先生。「造血幹細胞の“試験管培養”について」
少しだけ移植細胞を取り出して、それを試験管のなかで増やして移植するという夢の方法。早く実現して欲しい。ある因子を入れてやると、これまでの方法より早いスピードで増殖することがわかったらしい。もっと早く増える方法をみつけて、その細胞が元気で移植でも成果が出ると実証する−−それは遠い道のり。でも夢の移植方法。これ実現させたら、ノーベル賞もの。世界中で研究されているけど、日本はこの分野でフロントランナーと言っていいのかな?
■加藤俊一先生。「世界と日本の臍帯血移植の現況について」
世界では血縁で200例?。非血縁で600例?(うちニューヨークの臍帯血バンク経由で530例?)行われている。日本では血縁20例、非血縁14例。例数が少ないのでまだ断言はできないが、日本では非血縁の場合、生着が遅いように思える。
■西平浩一先生。「臍帯血バンクネットワークについて」
1万件のドナープールで90%、2万件で100%、患者にドナーが見つかる。
■高橋恒夫先生。「臍帯血バンクの品質・管理・信頼性コントロール」
いま日本各地で自主的に育っている臍帯血バンク。それぞれ、臍帯血やデータの管理方法でばらつきがある。改善しなければならないところも多い。これはちょっと驚いた。公的バンクで統合するには、こうした地道な作業が背景にあるのですねえ。
■岡本真一郎先生。「海外骨髄バンクとの交流の現況について」
予備検索制度の導入、ミスマッチや臍帯血データも含めた総合的データ管理と情報提供、骨髄バンクが中央集約的な役割を果たした世界の骨髄バンクとの連絡、コーディネーターの充実−−などが目標として明確に示された。「これからは世界のやり方に合わせて日本が善処していかなければならない。NMDP対応の迅速化と事務局実務の充実も図る」とも。みんなで応援しよう。選任者を置くためにはカネもいる。みんなで寄付をしよう。骨髄バンクの予算拡充を陳情しよう。
調査によるとスイス、オーストラリアなどの骨髄バンクでも、日本でドナーが見つからない患者に適合者がいるらしい。
これまで海外から骨髄提供を受けた23例の分析。ドナーがアジア系(API)だったのは15例。コケージアン(白人)が5例。ネーティブアメリカンが2例。欧州西ロシア系が1例。生着は100%。なぜか人種が違う方が、GVHDは軽かった。
フロアからの質問でも感じられたが、海外からの提供というとすぐ異民族間移植だと思う風潮がある。半分以上は日本人間移植なのである。NMDPには推定7〜9万人の日本人ドナーが登録されている。それをはっきり言うべきた。海外旅行したらいかにたくさんの日本人・日系人がいるか分かると思うけどなあ。同時に日本人でなくても、適合者がいることはあるということも重要。いずれにしてもこのあたりの実態についての知識の浸透がかなりの専門家にも不十分なのだ。
人種が違う方がGVHDが軽いというのは興味深い。データの蓄積が望まれる。BMDWへの登録が遅れたことへの説明が欲しかった。
■三谷史生さん。「Patient Advocacy(患者相談窓口)の状況」
このシンポを主催した研究班の予算でやっている試みの報告。骨髄バンクにPatient Advocacyを本格的に作るための試行作業とみた。名目は何であれ、こうしたことに予算を使うのは正しい。
でも内容は・・・。うーん、ちょっと違うなあ。「良い聞き手たらんとする」という基本方針に違和感がある。これははっきり言って、お茶を濁していると思う。失望した。しかも一応、Patient Advocacyと言う名前を使うならね。話の聞き役は大切だけど、それなら「民間」でもできる。情報の収集、情報の開示要求、情報の提供、案内、紹介などでもっと専門化して欲しい。患者ニーズの一歩先をいってほしい。もっと理念が高いPatient Advocacyを目指してほしい。そう、お願いしたい。
でも、バックに30人の専門医がいて、セカンドオピニオンをくれるところはすごい。本当にすごい。実質的にセカンドオピニオン提供の中央機関になっていくとしたら、世界にも類がない。まさにすごい。しかし、公的なところがセカンドオピニオンを手配するというのは、責任問題で必ずいつか問題が出て来ますよ。
■最後に一言。とにかく豪華メンバー。公開で無料。ありがたいイベント。次が待ち遠しい。関係者のみなさん、ありがとうございました。
△テーマ臍帯血バンクのネットワーク化
△2月21日(土) 午後1時から4時半
△JAビルホール(大手町JAビル9階 電話03-3245-7456)
地下鉄「大手町駅」A3出口(千代田区大手町1-8-3)
△主催:全国骨髄バンク推進連絡協議会
TEL03-3356-8217 http://www.marrow.or.jp/
去年の夏、ボクたち「骨髄バンク推進ネットワーク」が「ネットワーカーズジャパン97」に出展したとき、ホセ・カレラスさんから激励のメッセージが届きました。ただし届いたのがイベントが終わってからになってしまい、会場で公開できませんでした。
ずいぶん遅いニュースですが、ここで披露します。
Let me congratulate you for your active collaboration with the Bone
Marrow Registry Promotion Network.
The Jose Carreras International Leukemia Foundation was born with the
aim of fighting against this illness. Financing and supporting research
is one the areas in which the Foundaton has concentrated its efforts as
well as the Spanish Bone Marrow Registry(REDMO).
Every donor means a chance of life and the promotion of bone marrow
donors increases possibilities of cure for all those patients in need of
a transplant.
Please accept my wishes of success for your ongoing projects.
Jose Carreras
日本語訳例
「骨髄バンク推進ネットワーク」の皆さんの力強い共同作業に、お祝いを述べ
させていただきます。
「ホセ・カレーラス国際白血病財団」は、白血病に対して闘う目的で設立され
ました。当財団は、白血病に関わる基礎研究やスペイン骨髄バンクのため、資金
集めや支援活動に精力を注いでいます。
ドナーが1人増えるということは、患者さんが助かるチャンスを増やすという
ことです。骨髄バンク活動を推進することは、骨髄移植を必要としている患者さ
んたちの治癒率を向上させることにつながります。
「骨髄バンク推進ネットワーク」が現在、進めていらっしゃるプロジェクトが
成功を納めますよう、心からお祈りいたします。
ホセ・カレーラス (サイン)
ちょっと遅いですが、今年のボクの初夢を披露しましょう。
Imagine!
1)土日登録の拡大で、年間ドナー登録増加数新記録達成
2)事務迅速化とコーディネートマニュアル見直しなどもあって、
コーディネート期間が短縮。平均4カ月に。
3)年間移植数(骨髄バンク経由)700件突破。
4)骨髄移植に医療保険認定。保険カバーになって患者にとってはコーディネート料も骨髄液も無料に。(患者負担金も上がると思うけど、保険カバーだから、患者にとってはほぼ無料と同じ。骨髄バンクは保険からの支払いが主な収入源になる)
5)病院別移植数公式発表。病院も独自基準で骨髄移植実績や方針を発表。
6)骨髄バンクに関して国会議員による国会質問がはじめて行われ、改善に拍車がかかる。
7)患者とドナーの対面が実現。
8)移植認定病院の追加認定と一部削除が行われる。
9)骨髄ドナー登録時の手続きの簡素化(経験者なら、あのハガキのナンセンスさは実感されたでしょう。献血みたいに飛び込みでできないの?)
10)登録HLAデータの日赤と骨髄バンクの共有。骨髄バンクのオフィスでもデータが見れて、スピードアップ。
11)公的臍帯血(さいたいけつ)バンク設立の決定。
12)予備検索の実施(最初のデータベース検索は無料で迅速に行われる)
さて、このうちいくつが本当に実現されるでしょうか?
忘年会のときに検証してみましょう。
KENはけっこう多いと思うのですが、甘い初夢でしょうか・・・
骨髄移植体験者である大谷貴子さん(全国骨髄バンク推進連絡協議会副会長)の2冊目の本が発売された。「生きてるってシアワセ!」(スターツ出版、1300円)。買おう、読もう。泣こう、笑おう。読み出したら止まらない。すぐ読めて、永く心に残る本。装幀は骨髄移植経験者の在家智さん。
◎骨髄移植などの造血細胞移植についてのシンポジウム。日本の最高峰の医師・学者たちが集まる。先端分野と今後の方向を知りたい人はぜひ出席を。
●タイトル:厚生科学研究「造血細胞移植と免疫応答に関する研究」班
公開シンポジウム
●日時:98年2月6日(金)午後2時30分〜5時
●会場:慶應義塾大学病院 新棟11階 大会議室
東京都新宿区信濃町35 JR信濃町駅下車徒歩1分
電話 03-3353-1211(代)
98年1月19日、「第1回臍帯血移植検討会」が開催された。厚生省が主催したもの。骨髄バンクと臍帯血バンクの統合が最大の検討課題になる。
98年1月10日、読売新聞朝刊の「家庭とくらし欄」で長期連載されている「医療ルネサンス」のコラムの中でレポートされた。記事はhttp://www.yomiuri.co.jp/medical2/98011001.htmで読める。
KENが骨髄バンク公開フォーラムで明らかにした移植実績リストが反響を呼ぶ−−。
1 骨髄移植、病院選びは?−−ホームページ開設97/11/24毎日新聞朝刊から
骨髄移植を必要とする重症の血液疾患患者が病院を選択する際に、ひとつの目安となる「認定病院別骨髄移植実施件数」が23日までに、公表された。骨髄バンクを支援する市民団体のメンバーが公表したもので、日本のバンクである「骨髄移植推進財団」(事務局・東京都新宿区)も信ぴょう性を認めている。これまで実施件数は「病院の格付けにつながる」として公表されなかった。
(略)
全体の件数、病院名は市民団体「全国骨髄バンク推進連絡協議会」のホームページ(http://www.marrow.or.jp/newdata.htm)に掲載されている。【小野博宣】
2 東京で開催されたフォーラムで、「骨髄移植患者の目安に」と、病院別件数を初公表 97/11/10毎日新聞 大阪朝刊から
骨髄移植を必要とする重い血液疾患の患者に病院選択の目安の一つとなる病院別の骨髄移植件数が9日、東京都内で開かれた公開フォーラム「明日の骨髄バンクを考える」(骨髄移植推進財団など主催、日本新聞協会協賛)で明らかになった。1991年末のバンク設立以来、財団は数字を「病院の格付けにつながる」と発表してこなかった。フォーラム参加者が独自に入手し、公表した。(略)公表した参加者は「資料は正規のルートで入手したもの。患者に必要な情報だから明らかにした」と話している。
3 骨髄移植実施「病院別」は未公表 不安抱える患者、必要な情報提供(解説)
97/11/20東京読売新聞から
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「なぜ財団は骨髄移植の実施件数を病院別に公表しないのか。患者にとって病院を選ぶ際の情報として必要だ」
財団と、支援団体である全国骨髄バンク推進連絡協議会が先ごろ東京・西新宿で開いたシンポジウムで、パネリストとして参加した元患者の家族から素朴な問いかけがあった。
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回答した同財団企画管理委員長の小寺良尚・名古屋第一赤十字病院内科部長は「患者さんは、ホテル同様に病院のランキングを知りたいのだろうが、現在はそれを公表する時期ではない。今は移植実績は少なくても、これから伸びる病院もある」と説明したが、身内をかばうようにもとれる発言で、全国から詰めかけた患者の家族や支援者をがっかりさせた。
しびれを切らした冒頭のパネリストは「独自に入手した」という病院別移植件数データ(九月末現在)のコピーを、会場で配布した。
「数字が突然出てビックリした」と驚く医師がいたほど関係者には衝撃的な内容だった。
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患者はどんな情報を知りたいのか。協議会が毎週土曜日に受け付けている白血病フリーダイヤル(電0120・81・5929)には、薬による化学療法と骨髄移植の治療成績の比較や移植後の生活をはじめ、病院では聞きたいことも聞けない、といった相談や苦情が寄せられてくる。
不安を抱える患者とその支援団体、骨髄提供者、治療に当たる医師、移植を仲介する財団、それに事業資金を支える厚生省。こうした関係者のスクラムでほぼ毎日一例実施されるほどに定着した骨髄移植だが、それだけに一層、患者と骨髄提供者に対する十分な情報の公開と論議が求められている。
97年11月8〜9日、厚生省、骨髄バンク、日赤、医師、ボランティアなどが一同に会して、骨髄バンク改善への問題点を徹底議論した。KENもパネリストとして参加した。
厚生省、骨髄バンク、日赤は本当に患者のことを真剣に考えているのだろうか。
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[ビッグ追跡]骨髄バンク 多くの患者はチャンスを得ることなく…97/10/29毎日新聞 朝刊
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私の妻は米国滞在中に白血病にかかり米国で骨髄移植を受けた。日米のバンクでドナーを探し、米国の骨髄バンクを通して「米国に住む日本人」から提供を受けた。移植は成功したが、再発し今春、逝去した。それでも骨髄移植という治療法は妻に生きるチャンスをくれた。
この経験から日本のバンクの重大な欠点に気づかされた。ドナーと患者が素早く結びつく仕組みになっていないのだ。
米国で妻にドナー候補が多数見つかり、そのほとんどが日系人だったのには驚いた。日本バンクの登録ドナー数が約8万7000人であるのに対して米国では約280万人で、うち十数万人はアジア系。そう知って納得した。
遅ればせながら、その米国バンクとの提携が今年4月に実現した。日本のバンク設立から5年4カ月がたっていた。
国際提携は当初から課題のひとつであり、世界のほとんどの国が当たり前のようにやっている。技術的にも資金的にも難しいことではないのに、なぜこんなに時間がかかったのか。提携後、日本でドナーが見つからなかった患者さんの5割に米国で適合者がいたのを知るとさらに思いは募る。
◇患者の立場での発想が不足では
この数字は朗報であるがこれまでに多くの命が失われたことも意味する。もしもっと早く米国での検索が行われていれば、さらに数百人に適合者が見つかり、うち100〜200人の命が助かっていた可能性がある。
なぜ国際提携にてこずったのか。帰国してから各方面に事情を聴いた。端的にいえば、官僚的システムの欠陥である。
バンクが積極的でなかったと同時に、管轄の厚生省も消極的だった。厚生省は「時期尚早」としてずっと先延ばしにしてきた。厚生省の担当官によると「米国には9万人の日本人(日系人)が登録されていて世界一の日本人バンクである」と知っていたという。
患者の立場からの発想が不足している。「一人でも多くの人命を助けよう」という使命感が働く仕組みになっていない。
韓国バンクとの間でも今春「日本でドナーが見つからない患者31人に韓国に適合者がいる」と分かっている。しかし、韓国バンクとの来春の提携開始まで何ら対策を打とうとしない。
多くの患者さんが自分に適合者がいることを知ることなく、ドナーがいないと思い込み、骨髄移植のチャンスを得ることなく死んでいった。厚生省と骨髄バンクの猛省が求められる。まずは世界同時ドナー検索を常識化し、世界的な検索が可能であるということを医師や患者に周知徹底する機能を骨髄バンクが持つべきだろう。