化学療法:あなた自身にできること

加藤先生英文翻訳監修
原題 : Helping Yourself During Chemotherapy
訳者 : 酒井 隆博
連絡先 : [email protected]


おことわり(免責条項)
1.なるべく言葉や意味を正確に翻訳することを心がけていますが、内容については保証するものではありません。海外と日本では治療法や使用される薬が異なるばかりで はなく、社会的環境も異なります。あなたの主治医と話し合ったり、各種団体の相談窓口を利用するなどして、ご自身あるいはご家族に対してここにあげた情報がどのように適用できるかご判断ください。
2.原典の各発行元には、日本語への翻訳に関して了解を得ていますが、各発行元が日本語に翻訳された情報の保証をするものではありません。
3.訳者、編集者、監修者などはこの翻訳内容と、それによって引き起こされたことに対して、いかなる責任も負いません。



化学療法:あなた自身にできること

 化学療法とは、ガン細胞を殺す薬を用いる治療法です。化学療法中は、あなた自身にも大切な役割があります。このガイドに書かれていることは、あなたが、
・体調が良いと感じられ、
・起こり得る問題に対処し、
・治癒に向けて主治医と協力しあえる、
といったことができるように、手を貸してくれます。
このガイドを読んで、何か分からないことがあれば主治医や看護婦に聞いてみましょう。化学療法についてもっと詳しく説明してくれるでしょう。

あなたのための4ステップ

化学療法中に次の4ステップを実践してみましょう:
1、治療によって副作用が現れた場合は主治医に伝えましょう。
2、他の薬を服用する前に主治医に尋ねましょう。
3、健康状態に注意しましょう。
4、感情の変化を誰かに話しましょう。

ステップ1:

治療によって副作用が現れた場合は主治医に伝えましょう

次のような症状があれば主治医に伝えましょう:
・鼻血が出る
・疲れ(倦怠感)を感じる
・便秘
・口やのどにものが当たると痛む。ただれている
・よくせきが出る
・体重が4〜5kg以上増えた、または減った
・手の指やつま先がひりひりする
・耳鳴りがする
・皮膚に赤い斑点できた
・黒や青いあざができた
・吐き気がする、または食べたものをもどす
・便がゆるい、または下痢である
・熱が38.5度以上ある
・髪が抜ける
分からないことがあれば、主治医や看護婦に尋ねましょう。

ステップ2:

ほかの薬を服用する前に主治医に尋ねましょう。 化学療法ではガンと闘うために薬を用います。治療中にほかの薬を服用すると問題を起こすことがあります。最良の結果を得るために、以下のことに留意してください。
・避妊薬も含め、そのほかに服用している薬について主治医に伝えてください。
・ほかの医師が処方した薬や薬局で買った薬についても主治医に伝えてください。
・主治医の許可なしにアスピリンを服用しないでください。アスピリンは色々な薬に含まれています。あなたが購入しようとする薬にアスピリンが含まれているかどうかを薬剤師に確認してください。

主治医の許可なしにはいかなる薬も服用しないようにしましょう。

ステップ3:

健康状態に注意しましょう。

・三食きちんと食べましょう。
・体重を一定に保ち、太ったりやせたりしないようにしましょう。
・飲み物をたくさん飲みましょう。
・胃の具合が悪くなければ、毎日(1)パンやご飯(2)肉や魚(3)果物や野菜(4)乳製品 をそれぞれ1種類以上食べましょう。
・もしただれていても、きちんと口の手入れをしましょう。
・毎食後、歯を磨くようにしましょう。
・柔らかい歯ブラシと普段の歯磨き粉を使いましょう。
・歯磨きができない場合は、水で口をすすぎましょう 。
・カゼやインフルエンザにかかっている人には近寄らないようにしましょう。
・菌に感染して病気になるおそれがあります。
・主治医の指示する血液検査はすべて受けましょう。
・血液検査で、主治医があなたの健康状態を知ることができます。

ステップ4:

感情の変化を誰かに話しましょう

ガンの治療を行っていると、あなたの感情にも変化が起こります。悲しくなったり、イライラしたり、怖くなったりします。それは当然のことであり、誰かに話せば楽になります。友人や家族に話す人もいれば、ガンにかかっている人やカウンセラーに話す人もいるでしょう。看護婦やソーシャルワーカーなら、より多くの疑問に答えてくれます。避妊やセックスについて尋ねたいことがある人も多いでしょう。主治医や看護婦にどうすればよいか尋ねてみましょう。

 「先生、話をしてくださってありがとう。」

あなた自身にできること

・ステップ1: 治療によって副作用が現れた場合は主治医に伝えましょう。
・ステップ2: 他の薬を服用する前に主治医に尋ねましょう。
・ステップ3: 健康状態に注意しましょう。
・ステップ4: 感情の変化を誰かに話しましょう。

以上の4ステップについて、主治医や看護婦と話し合ってわからない点があれば聞いてみてください。化学療法の効果を高めるために、あなたにできることを知っておくことが大切です。
癌についてより詳しく知りたいときは、国立がん研究所がん情報サービス(電話:1-800-422-62371-800-4-CANCER)までお電話ください。化学療法についての疑問あるいはガンに関するその他の質問にお答えします。
 
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