予後とガン統計データを理解する
秋山先生英文監修
原題 : Understanding_Prognosis_and_Cancer_Statistics
URL : http://cancernet.nci.nih.gov/clinpdq/rehab/Understanding_Prognosis_and_Cancer_Statistics.html
訳者 : 撫子なんちゃん

おことわり(免責条項)
1.なるべく言葉や意味を正確に翻訳することを心がけていますが、内容については保証するものではありません。海外と日本では治療法や使用される薬が異なるばかりで はなく、社会的環境も異なります。あなたの主治医と話し合ったり、各種団体の相談窓口を利用するなどして、ご自身あるいはご家族に対してここにあげた情報がどのように適用できるかご判断ください。
2.原典の各発行元には、日本語への翻訳に関して了解を得ていますが、各発行元が日本語に翻訳された情報の保証をするものではありません。
3.訳者、編集者、監修者などはこの翻訳内容と、それによって引き起こされたことに対して、いかなる責任も負いません。



 ガンにかかっている人なら誰でも自分の将来がどんなものなのかを心配するのはごく当然です。自分のガンの特質を知りこれから起きうることに対して心構えをすることは、ガン患者やその愛する人たちが、治療を計画立てたり、生活様式の変化に備えたり、生活の質を高めたり、経済的な問題の決断をするのに役立ちます。ガン患者は主治医に何度も聞いたり自分で統計を調べたりして「自分の予後がどんなものであるか」に答えを見つけようとします。
 予後は病気の経過や結果の予測であり、病気からの回復、治癒の見通しを示すことです。しかし、それは単に予測にすぎません。医師たちが一人の患者の予後について論議する時、個々の患者に対して起こり得そうなことを考えようとします。ガンが治療によく反応すると思われる時は医師は希望のもてる予後を伝えるでしょうし、なかなか制圧できそうにないガンだと思われるときには見通しが悪いと伝えるでしょう。
 ガン患者の予後は多くの因子に左右され、とくにどんなタイプのガンにかかっているか、ガンの病期はどうか(ガンがどのくらい転移し広がっているか)、また、その悪性度はどうか(ガンがどのくらい攻撃的であり、正常組織に類似しているか)に左右されます。また、他の因子としては、患者の年齢や一般健康状態、治療の有効性などがあります。
 医師も予後の見通しをたてるのに統計を用います。ガン生存患者統計をみれば、どのタイプの、どの病期のガン患者がどれぐらい病気を克服しているかがわかります。5年生存率というのがもっとも一般的な指標となっています。ガンによる影響を5年の期間にわたって評価します。生存率というのは、寛解で無病状態か、治療中かにかかわらず、診断から5年生存した人すべてをふくんでいます。まったく同じ患者は2人といないのですから、ある特定の患者に起こることを予想するのに統計だけで判断してはならないことを理解しておくのが重要です。
 患者やその大切な人たちはガンと向き合っていくときに、不安なことばかりあります。統計を知ることで病気への対処がしやすくなったと思う人もいるかもしれませんし、また、統計上の情報が混乱を招き、恐怖を感じさせ、非人情的で使い物にならないと感じる人もいるかもしれません。患者の状況をとてもよく知っている医師こそが、その患者の予後を語り、統計上のデータを患者自身のケースに当てはめた場合に、どういう意味をもつのかを教えるのに、最適の立場の人です。
 予後について知りたければ、医師と話をするべきです。と同時に、患者は、医師でさえも起こり得ることを正確にわかるのではないことを理解するのが大切です。事実、一人の患者の予後はガンが進行したり、治療がうまくいったりすることで、時間の経過とともに変わるものです。
 予後について知り統計を理解することで、自分の予後がどんな意味をもつのかが、よりよくわかるようになって、不安を軽減できる患者さんもあるでしょう。情報をどの程度うけとめ、それをどう考えるかを決めるのは個人が決断することであり、患者さん自身の選択によるべきものです。

●他の情報源

○電話サービス(Cancer Information Service
・ガン情報サービス......ガン情報サービス(CIS)は米国立ガンセンターの全米的情報と教育のためのネットワークです。これは患者、一般人、医療専門家のための最新で最も正確なガン情報です。専門的に教育を受けたスタッフが科学的な情報を、理解しやすい言葉で提供します。スタッフは英語とスペイン語で質問にお答えできますし、NCIの資料も配布いたします。
/フリーダイヤル: 1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)
/TTY: 1-800-332-8615

○電子サービス
・NCIウエブサイト......NCIでは http://rex.nci.nih.gov/ にウエブサイトを開いています。そこでは最新のガン情報にアクセスできます。NCIの患者教育材料がそのウエブサイトにあり、ガン患者や家族のための教育パンフレットやファクトシートが入手できます。

・PDQ......国立がんセンターはPDQ情報(physician Data Query、医師用データ検索)を出しました。それは医療専門家、患者、一般人が、次のような情報に迅速で容易にアクセスできるようにと設計されたコンピューター化されたデータベースです。
* たいていのガンの最新の治療法、補助療法、スクリーニング、予防の情報。
* 治療法、補助療法、スクリーニング、予防研究などを含む、研究調査(臨床試験とも呼ばれる)で参加登録が可能なものについての内容の記述 。
* ガン治療分野を専門としている組織や医師に関する情報

PDQは国立医学図書館、認可された情報提供業者、「インフォメーション・アソシエーツ・プログラム」(1-800-624-7890)、またはオンラインで検索が出来る医学ライブラリーなどからアクセスできます。「ガン情報サービス」(1-800-4-CANCER)のスタッフはPDQの情報を電話で提供できます。「PDQ検索サービス」でも、医師や医療従事者の人たちにPDQ情報を検索します(1-800-345-3300)。

・キャンサーネット......インターネットでPDQやその他のNCI情報を入手できます。 (登録商標) キャンサーネットはワールドワイドウエブ http://cancernet.nci.nih.gov/ から入れます。

・キャンサーメール......PDQやNCI情報は電子メールでも得られます。キャンサーメールの目次リストを得るには、本文にHelpと書いた電子メールを [email protected] まで、送って下さい。

・キャンサーファクス......ファクスでNCI情報をほしいときは、301-402-5874 へ電話付きファクス(登録商標)から電話をかけて、案内の指示に従って下さい。

1997年6月最終改訂
 

米国がん研究所の PDQ 目次