平成10年度 第8回企画管理委員会議事録

日 時 平成10年11月27日(金)17:00〜20:40
場 所 財団法人骨髄移植推進財団会議室
出席委員 小寺良尚 委員長
秋山祐一、岩尾一、大竹一生(代理大給乗龍)
岡本真一郎、加藤俊一、清水透
鈴木利治、各委員
陪席者 成瀬郁夫 厚生省臓器移植対策室室長補佐
土田昌宏 マニュアル改定特別委員会委員長
陽田秀夫 財務委員会副委員長
赤座達也 日赤中央DC部長
埴岡健一 患者家族代表
中 達哉 骨髄提供者代表
熊崎 哲 日赤血液事業課
田中典郎 財団常務理事
事務局 野田、矢澤、山崎、町田

1.議事の経過及び承認・検討・報告書項

承認事項
1)第8回企画管理委員会議事録
  ★DLTに関する普及広報委員会見解の「ドナー擁護の原則の変更が容認されるまで例外的、緊急的な実施も控えるべき」の記述に対して、これまでの企画管理委員会の検討経緯も踏まえ、「患者側の治療の平等性、提供ドナーへのインフォームドコンセント等双方の公平性の原則が確保されることを実施の前提とする」に文言の訂正があった。
  ★DLTの進め方については、ドナーヘの説明時期の問題(三次検査時及び最終同意時に移植患者がDLT治療を必要とした場合に応諾していただけるかどうかの確認等)、移植患者側については、DLT治療を必要とする時、公平に実施することができるような体制、また発生する諸費用の取り扱い等も含め、実施要項をコーディネート委員会でまとめることとされた。
2)非血縁者間骨髄移植・採取施設の申請について
  認定条件をクリアしている都立府中病院・国立病院東京医療センターよりの認定申請が承認された。
3)調整医師の推薦について
  北海道地区:5名  関東地区:1名 計6名が承認された。
4)国際協力事業認定施設の申請について
  認定条件をクリアしている兵庫医科大学幹細胞移植チーム(輸血部)及び東京大学医学部附属病院無菌治療部よりの認定申請が承認された。
5)理事会答申案について
  ★第1号議案: HLAl抗原不一致移植について
  財団は移植病院からの依頼が患者の同意を得、かつ、倫理委員会等の審査、承認を経ているものであることを確認できる場合に限り、HLA一部不適合ドナーの検索を実施する。
  ★第2号議案: 骨髄移植希望患者の適応拡大等について
  患者登録要件の一つである年齢制限条件を患者の病状、身体状態等に応じて緩和をすること、また患者登録要件を良好な予後が期待できる疾患や病状をガイドラインとして提示し、ガイドラインに該当しない場合については、移植病院の医師に対して、患者に必要かつ充分な情報提供を行った上で、同意を得るよう注意を喚起すること。
  等を主内容とする答申案をもって、理事会の議決を書面で早急に求めることとされた。

討議事項(継続案件)

1)財務改善の基本方針案等について
  ボランティア団体、企業への事業委託、登録ボランティア制度の導入検討、事務局の勤務体制等について、討議を行った。意見のあらましは下記の通りである。
 ア)収入の確保
 ★骨髄バンク事業費の医療保険適用について、次回の改定時期である2000年春に向けて、戦略チームを編成して、早期からの準備と働掛けをする。
 ★国庫補助金の要望について
  骨髄バンク事業が成長事業であることを強くアピールし、事業の成長率に応じ、国庫補助金の確保に向けて迅速に対処すること。
 ★寄付金について
  寄付金使途の明確化(指定寄付)により寄付をしやすい環境を整備するほか、企業等に対する要請も定期的に行う。
 イ)支出について
 ★HLA検査について
  最大の費用項目であるHLA検査については、長期的観点に立って検討を行い、日赤への検査委託の仕組みも含め、その費用対効果を計測し、改善、代替手段等も議論しておく必要がある。
 ★節約と先行投資について
  コスト構造を見直し、節約できるところは節約を図り、投資すべきところは投資するというメリハリのついた予算の執行が重要である。
 ウ)人的な有効活用について
  人件費等の固定費を削減するため、登録ボランティア制度の導入等を検討し、それに伴う事務局の勤務体制等をシュミレーションして対費用効果等考察する。
   以上のような整理をもって、収支構造等を再検討し、必要な働掛けと改善を行っていくことが大切であるとされ、当面の課題とされた。

2)コンピューターシステム化および予算の有効活用について
 ★システムの構築について
  専門家のアドバイザー、コンサルタントとして機能する人をプロジェクトに入れる。
 ★入札について
  複数業者による見積、参入のチャンスを与え、システム全体及びハード、ソフトに対しての意見や費用を聞く。
 ★目的意識の確認について
  これからの骨髄バンク事業では、コーディネート期間の短縮、移植適応条件の拡大と検索、コーディネートサービスの質の向上、国際的な交流の拡大とグローバルスタンダードへの対応等目的意識をもった課題の達成が必須であり、これらに応えるため日赤と財団が充分な情報交換をしながらシステムを構築する必要がある。
   これらの意見を踏まえ、各委員会からの要望等も充分取り入れ「合同部会」の活性化を図り、早急に骨髄バンク新検索システムの構築に向けて作業を進めることとなった。

報告書項
1)医療委員会
   ★HLAl抗原不一致移植
    関連資料を添えて理事会へ答申をすることとなった。
   ★認定施設の更新
    本年度も昨年同様に移植状況調査を行い、認定施設の更新を行うこと。
   ★コンピューターシステムの構築
    HLA適合ドナー検索システムについて、参考資料(中央骨髄データセント内部検討資料)を検討した結果、検索システムの基本設計については、概ね問題がないことが確認され随時各委員会の意見も取り込みながらシステムの構築を進めることとされた。
   ★移植成績等の情報公開
    ホームページや骨髄バンクニュースでの情報公開、各医療施設ごとの移植成績等の公表は各施設の判断に委ねることになっているが、極力積極的に公表して貰うよう呼び掛けをすることとなった。
   ★DLT症例の調査
    過去に実施された症例の調査を実施することとなった。
   ★新規移植施設の認定
    東京都立府中病院、国立病院東京医療センターの2施設が認定された。
   ★HLAクラス1のDNAタイピングの実施
    HLAクラス1DNAタイピングキットの改良により新しい抗原(B62,75)のDNAタイピングが可能となり、将来的には全てのHLAクラス1抗原がDNAタイピングにより検査されることも想定し、現段階で検査できる抗原は全て検査することになった。
   ★ドナーの体重制限
    検討案件であるドナー検索時の体重条件を撤廃する案に対し、ドナー安全委員会より、ドナーの自己血採血前と骨髄採取後のHb値について、ドナー体重あたりの骨髄採取量毎に分類解析した結果、現状の骨髄採取上限量である20 ml/kg未満の縛りのみでは、ドナーの安全を確保することが困難であるとされ、安全な骨髄採取量の基準を再考した上で体重条件を撤廃することを了解する方針であることが説明された。
   以上について、第4回議事録により説明報告がなされた。

2)ドナー安全委員会
  ★C型肝炎発症ドナーの原因追跡調査について
  空間を同一にしたC型肝炎患者との交差試験、別に保存されていたドナー本人の検体での再検査等を継続して実施中であるとされ、12月中には資料、データを整理することが可能となった旨の報告なされた。
  ★骨髄提供に伴うドナーの健康状態について
   身体的異常の自覚症状や検査データの異常値、退院後の健康診断時の健康状態の回復状況、特記すべき合併症、骨髄穿刺針に関するアンケート結果報告等、調整医師会議で報告される資料が提示された。

3)国際委員会
 ★KMDPとのPilot agreement締結について
  KMDP側の調整が遅れている。
 ★TCTMDRとのFormal agreement締結について
  JMDPの新fee scheduleが決定後に締結することが確認された。
 ★海外骨髄バンク用コーディネートマニュアルの一部改訂について
  国内外の同時ドナーコーディネーションが可能となり、調整医師会議で発表することになった。
 ★クーリエのアテンドについて
  NMDPのクーリエ養成のドラフトを参考にコーディネート委員会でコーディネーターがアテンド可能かどうか検討を依頼することになった。
 ★アジア地区の骨髄バンクの協力体制の確立について
  JMDPとTCTMDRでHLAタイピングのガイドライン、Registry の accreditationに関してのドラフトを作成し、各国のバンクに配布することとなった。
 ★JMDPドナーのHLAデータ利用に関する問い合わせについて
  BMDWからの人種間におけるHLA研究のためのドナーデータ利用願いについて企画管理委員会委員の意見聴取を行った結果、研究成果の報告を条件として開示することとなった。
 ★国際協力事業認定施設について
  兵庫医科大学幹細胞移植チーム(輸血部)及び東京大学医学部附属病院無菌治療部からの認定申請につき、可として企画管理委員会に答申をした。
 ★NMDP Data利用について
  データリリースのOKを確認してから有効活用することになった。
  等を主内容とする第4回国際委員会議事録により説明報告がなされた。

4)コーディネート委員会
 ★初期コーディネートの中央集約化について
  12月業務開始に向けて、関係各方面との調整が終了した旨報告された。
5)普及広報委員会
 ★全国大会開催、チャンス改訂版の印刷、10年度ポスターの印刷、バンクニュース発刊等について報告があった。

6)財務委員会
 ★臨時財務委員会が企画管理委員会の前に開催され、事務局を含め討議された「人的資源の有効活用」に関して、今後も鋭意検討を進め、実行可能なものから順次著書することとされた。

7)事務局
 ★各委員会委員への国内旅行総合保険の付保について
  不慮の事故に備え、12月から最高500万円の保険を付保することになった。
 ★「骨髄バンク事業推進の請問題について」の質問について
  質問内容である公開フォーラム、C型肝炎感染事故の調査について、情報公開について、患者とドナーの対面について、10月4日のキャンペーンについて、財団とボランティア団体との連携については、企画管理委員会の協議経緯を含め、企画管理委員長名で回答書を出すこととなった。
 ★骨髄バンク事業の現況について
  10月末現在の月次累計データが資料報告された。

以上

次回委員会は平成10年12月25日(金)に17:30から開催することとなった。