平成10年度 第4回企画管理委員会議事録

日 時 平成10年 7月17日(金) 17:00-20:00
場 所 財団法人骨髄移植推進財団 会議室
出席委員 小寺 良尚 委員長、森 眞由美 副委員長
秋山 祐一、岩尾 一、岡 一郎、大竹 一生(大給血液事業部次長代理出席)
加藤 俊一、森島 泰雄、十字 猛夫 各委員
陪席者 土田 昌宏 マニュアル改定特別委員会委員長
陽 田 秀 夫 財務委員会副委員長
赤 座 達 也 日赤DC
部長
[厚生省]-成瀬、重藤 臓器移植対策室長補佐
[財 団]-田中常務理事
[事務局]-野田、矢澤、山崎、町田

1.第3回企画管理委員会議事録
(1) 企画管理委員会:
 1) HLA 1座不一致移植及びDLTについて
 2) 骨髄バンクコンピューターシステム事業について
 3) BMDWのHLA照合サービスの運用と実行について
 4) 10万人ありがとう、30万人をめざして! キャンベーンについて
 5) 骨髄提供者と元患者の直接対面について
(2) 普及広報委員会:
 1) 北海道東北地区推進連絡会
 2) ドナー希望者に対する集団登録受付説明会と採血実施について(札幌TV塔)
 3) 年次計画策定段階での予算編成参入の要望について

(3) コーディネート委員会
 1) 調整医師5名の推薦について
 2) 北海道地区調整委員会副運営委員長の変更について

(4) 国際委員会
台湾骨髄バンクとの正式提携の契約内容について

等を主な内容とする第3回企画管理委員会議事録案が了承された。

2.企画管理委員会
了承事項
*HLA1座不一致移植に関する専門家の見解について
浜松医科大学第3内科大野竜三教授の手紙に対して、財団として患者の希望によるHLA一座不適合ドナーからの骨髄移植及び移植後の白血病等の再発例に対してドナーの同意のもとにドナーリンパ球輸注治療法(DLT)等を可能にするシステムの構築に向けて作業を開始する主旨の返書を送ることとされた。

再検討事項
*平成10年度公開フォーラム開催について
全国連絡協議会よりの開催要望について、新しい諸問題が山積してきている現状も真摯に受け止め、時期をずらしてでも開催すべきであるとする企画管理委員会の意向を普及広報委員会に伝え再検討を促すこととなった。

3.財務委員会
了承事項
*財務委員会委員の新規委嘱について
陽田秀夫評議員を委員として委嘱することが了承された。

4.国際委員会
了承事項
1) 提携外の海外バンクへのドナー検索依頼について
  各バンクの資質の評価が難しいことからドナー検索希望患者に対し、必ずしもコーディネートが期待通り進行しない可能性もあることを明確に説明を行うため、患者同意書等を整備し当面は研究事業扱いで対応することとされた。また、提携外バンクへの検索依頼等事務は将来的には各認定施設において移植コーディネーター(仮称)に準ずる方が行うべきであるが、当面は検索希望があった場合は移植責任医師が国際委員会の協力のもと各バンクとの連絡をとることとなった。なお、コーディネート開始に伴って発生する患者負担金の経理業務の取り扱いについても早急に関係者間で詰めを行うこととされた。

2) 台湾バンクとの相互提携に伴う患者コーディネートマニュアルの見直し相互提携に伴いシステムの整備、ドナーコーディネート委員会との調整を進めながらNMDPとの予備検索同時依頼及び同時コーディネートを積極的に進める方針とされた。

3) Fee Schedule の変更申し入れについて
  台湾骨髄バンクとの正式提携に関して新たに提示された患者 Fee Schedule に対し、その意向の再確認を行い、調整不能であればJMDP価格も同等のものに変更した上で正式契約を結ぶ方向とされた。また将来的にはJMDPの価格設定の目的が統一的なアジア価格を設定することにあったことを鑑み、今後より一層の協力関係を構築して行くであろう韓国及びアジア諸国のバンクとも話し合いの場を持ち、インターナショナル的な患者 Fee Schedule 設定に努めることとなった。

4) 骨髄運搬方法について
  NMDP以外のほとんどのバンクでは移植病院側が骨髄液を受けとりに行くことが原則となっている。今後その可能性もあることを各施設にWMDAのガイドラインをもって通知することになった。

5.医療委員会
承認事項
*移植・採取病院の認定について
同種骨移植実績データを添えて認定申請があった天理よろづ相談所病院が承認された。

了承事項
(1) HLA1抗原不一致移植実施に伴う指針案について
 1) 適応等については、特に定めず治療方針は患者の意思決定に委ねる。
 2) 登録手続きは移植病院の責任医師が行う。
 3) 不適合抗原の選択は移植医師に委ねる。(BMDWの照合リストから移植医が希望するHLA型を選択)
 4) 一座不一致移植のリスクについて詳細な情報伝達をするよう努める。
 5) 不適合抗原の選択、前処置やGVHD予防等の相談は医療委員会がコンサルタント役を努める。
 6) 一座不一致移植成績の収集、分析を行い、悪影響を及ぼす条件が見つかれば移植を推進させないような Stopping rule の作成が必要。

(2) DLT実施に伴う指針案について
 1) 血縁者間の成績より、EBウイルス関連B細胞リンパ腫と慢性骨髄性白血病の細胞遺伝学的再発例と血液学的慢性期再発例についてはDLTにより非血縁者間出も予後が期待できること。
 2) EBウイルス関連B細胞リンパ腫の治療にはドナーからの400 mlの採血で充分なりンパ球が得られること。
 3) 慢性骨髄性白血病の再発例には1回の成分採血により間欠的に2回のリンパ球輸注を行えるだけの細胞が得られること。
 4) 採血時の不慮の事故に対しての保険適用の是非の検討が必要。
 5) 採血事故の事例調査をする必要があること。(日赤持ち帰り検討)
 6) DLTの可能性の説明は提供ドナーへの最終同意の際に行い、更に骨髄採取終了後のドナーフォローアップ時にも提供の依頼があった場合協力できるかどうか(フェレーシスも含めて)強制のないよう再度確認する必要があること。

(1),(2)の上記事項等充分な配慮の上、精査しながら実施に向けてコーディネートマニュアルの改定も進め、併せて一座不一致検索のコンピューターシステムの構築等を日赤と合同で進めることとされた。

6.普及広報委員会
了承事項
*各委員会の決定事項で公表可能な事柄については、各委員長の許可において財団インターネット及びニフティーサーブの中で逐次公開可能とされた。

7.コーディネート委員会
了承事項
*ドナーコーディネートの迅速化のため、現行の文書による日赤間との個人情報の取り寄せ方法をFAXでの申し込み、文書での情報提供にする方法に変えることの内諾が得られたため、個人情報管理者である日赤に正式依頼文書を発出することとなった。また全体的なコーディネートの流れの中で改善点等生じた場合鋭意検討に入ることとされた。

8.ドナー安全委員会
報告事項
1) 骨髄採取後急性肝炎を発症した事例の経過報告について
  当該施設の報告書からは明らかな感染源が特定されなかった旨の報告があり今後とも再発防止に向けてあらゆる角度から検証を進めるとともに、採取前後の不慮の事故を対象とする保障制度の検討も行うこととされた。
2) DLT実施準備に関わる採血基準について
  原則日赤採血基準に準じるほか、採取後のフォローアップが完了していること、自己血採血基準に合致(Hb11g/dl以上)していること、採取施設が問題なしと判断した場合を採血基準とすることが確認された。
3) 血液分画製剤(PPF)、エリスロポエチン使用に関する安全情報を認定施設に発出した。
4) 骨髄穿刺針に関するアンケート調査結果を認定施設に発出した。

以上

[次回委員会は8月28日(金)17時より開催されることとなった。]